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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 王妃の館 上/下
作家名: 浅田次郎
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
浅田次郎その他の小説 
【書評・あらすじ】
 一見さんお断り。
 いかなるセレブも泊まることは許されない、パリの由緒正しきホテル<王妃の館>。
 どういうわけかバブル崩壊後の日本で、そこに泊まるためのツアーが売りにだされていた。
 しかも2ツアーも。
 片方は参加費150万の超セレブツアー。そしてもう片方は20万と超低価格のツアーだ。
 そしてよくよく見てみると、その2口の<王妃の館>ツアーはどうやら同じ旅行会社が企画したものらしい。
 セレブ旅を<ポジ>、貧乏旅を<ネガ>と称し、それぞれに7名の参加者を獲得した模様だ。
 しかもどうやらこの旅行会社、両ツアーの客を<王妃の館>の同じ部屋に泊まらせようともくろんでいるらしい。いったいどういうつもりなんだろうか。
 上司との不倫の末30の半ばに捨てられた元OL、同僚のハレンチさに嫌気がさし「正義」のために辞職した元警官、ベストセラー作家と出版社の女、オカマ、その他9人の旅行客をつれて、<王妃の館>パリの旅は始まる。
 上巻は2つのツアー客同士が遭遇してしまわないかというスリリングな展開、登場人物たちの事情や、<王妃の館>にまつわる物語(の話を聞いた作家が書いている劇中小説)が交錯し、大団円に向かう。

 登場する多くのキャラクター。それぞれに事情を抱え、ただのお遊びの旅行客がいない。
 そんな複雑な一行を、それぞれの事情をきちんと描きながら物語を進展させてゆく。
 またそこには浅田節ともいうべき「義理」とか「人情」とかもしっかりからんでくる。
 付きまとってくるオカマに義理を通すためにしかたなく一晩抱く正義漢、なんてシーンもあって、もはや笑い泣きの世界だ。
 なんだか浅田次郎の十八番のような展開の作品だった。上下巻あっという間に読みきってしまった。
 ただ、上巻から貼ってあった伏線が思いのほかあっさり解消してしまうのがなんだか肩透かし感。
 まあ面白かったけど。

 2015年に映画化。主演はまさかの水谷豊。
 http://www.ouhi-movie.jp/

下巻はこちら。上巻が気になるところで終わるので、合わせて手元においておこう。
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作品名: 歩兵の本領
作家名: 浅田次郎
ジャンル: 短編小説

笑:☆☆☆☆☆★★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★
ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
浅田次郎の他の小説
【書評・あらすじ】
 自衛隊という謎多き奇妙な組織について、ジャーナリズムではなく、想像でもなく、アイロニーと親愛の念を込めて物語を書くことができる人が、浅田次郎以外にいるだろうか。
 いるわけねーだろ。
 と唐突な自問自答から始まる今回。笑本!管理人、絶好調で怒涛の日々です。ごきげんよう。

 18から20歳といった普通なら呆けて過ごす時期を「三島の死の真相」を求めて自衛隊で過ごした浅田次郎。
 そんな自身の経験を元に書かれた作品群がこの『歩兵の本領』だ。

 学生たちがピースマークをつけてヒッピーを気取るか、ゲバ棒をかついで学生運動に励んだ時代。しかしなにを気取っても、彼らには高度経済成長のさなか、引く手あまたの就職先があった。
 そんな時代に「地連」の口車に乗せられたか、そうせざるを得ない事情を抱えていたかして自衛隊に集まってきた若者たち。
 自衛隊という閉ざされたシステムの中で営まれる、人間臭い生活。そこには密な上下関係があって、友情があって、「娑婆」に残してきた人を焦がれる思いがある。
 そんな自衛隊の中での若者たちの青春が、浅田次郎自身の経験に基づいて、ユーモラスで感動的に描かれている。

 ところで、これらの作品は1997年から2000年にかけて連載されていたようだ。
 浅田次郎が書いていた最中は、これらの短編を書き終えた直後、まさか自衛隊が軍隊としての帰路に立たされることになるなんて思ってもみなかっただろうな。

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