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さくらももこのエッセイ【書評一覧】 > さるのこしかけ
作品名: さるのこしかけ 作家名: さくらももこ ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆★★★★ ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ さくらももこのその他のエッセイ |
やあ、しばらくぶりだね。このところ私生活のあわただしさがとんでもないことになってるよ。
ここわずか数週間の間に面接とライブ(友人のバンドにサポート出演してきました)が重なりメンタル的な山場を迎えた。しかもとき同じくして担当授業が1コマ増。
師走というけど、今年から文字通り「師走」の僕なのだ。
そんなわけでまあ、ポジティブにいえば、とても充実した日々を送らせていただいております。
笑本!管理人です、ごきげんよう。
さて、近況を述べたついでにさらに近況。
今月(2010年12月)の中旬ごろから掲載されることになると思うけど、たんぽぽモールというサイトでコラムを書くことになった。たんぽぽモールは女性向けポータルサイトで、テーマは「女子力アップ」なのだそうだ。たはは。
そこでも書評コラムを書くことになるので、記事はほとんどこのブログから転用するつもりだけど、せっかくなので普段ここでは書かないようなネタも投稿できたらと思っている。
吉村けいの名で書いているので探してみてね。
さて、長い前置きをへて、ようやくさくらももこの『さるのこしかけ』だ。
さくらももこが23歳当時に書いていたエッセイ。
時代としては、アニメ「ちびまるこちゃん」が最初に放送されていたころだ(第1期は契約どおり3年で終了、「ツヨシしっかりしなさい」のインターバルをはさんだのちに復活、第2期は現在まで放送が続いている)。ちなみに当時僕は小学校3年生で、奇しくもまること同級生だった。
エッセイを見ているとよく分かるのだけど、さくらももこはいうことがとにかく辛らつだ。
普通であれば話のなかでいくらボロクソ言っても最後によさげなことを言って話を丸くおさめるものだけど、さくらももこのエッセイに関しては、「え、そのまま終わっちゃうの?」と心配になるほど辛口だ。
たとえば、本書収録の「インド駆けめぐり記」のまとめにあたる文はこうだ。
「私と主人は『インド人が偉大だったのは、0の発見とタージ・マハルを建てたことだけだ』という結論に至った。もうインドに用はない」
もうインドに用はない、で終わるインド旅行記。あるのか、こんなことが。
そもそもさくらももこはインドにはあまり行きたくなかったようなのだ。その辺の様子は直前の「インド旅行計画」に記されている。それでしかたなくインドに行かされてしまった様子を描いたのが「インド駆けめぐり記」なのだ。ここで描かれるインドでの様子は、もうね、インドへの愛情0。こいつら全員死ね!的テンションで書かれているのだ。
「あと少しで東京に帰れるのだ。そう思うとうれしくてたまらなかった」
「この期に及んで、まだそんなことをするのかインド人は」
つまりエッセイの流れとしては、あんまりインド行きたくねー⇒インド滅べ!⇒もうインドに用はない、なのだ。
『インドなんか二度と行くか!ボケ!! 』のさくら剛でさえインドに対してあれほど気を使っていたのに、おなじさくらのももこのほうはというと、インド嫌い⇒インド大嫌い、なのだ。
で、なにがいいたいかというと、そこが面白いのだ。
上では「辛らつ」と書いたが、ようは、本当に思ったことしか書けない人なのだと思う。
このエッセイ集ではインド旅行のほかに、「ちびまるこちゃん」アニメ化の話、姉の見合いの話、遠藤周作に煙に巻かれた話、バカ熱血教師の話、たまちゃん(実在したんだね)の誕生日会で骨折した話など、24編のエッセイが収録されている。いずれもどこかピリリと辛いエッセイばかり。
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リリー・フランキーのその他の本【書評一覧】 > 小さなスナック
作品名: 小さなスナック 作家名: リリー・フランキー ジャンル: 対談集 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ リリー・フランキーその他の本 |
リリー・フランキーとナンシー関による対談集。
ナンシー関晩年に行われていた対談をまとめたもので、予定としてはシリーズとして数冊出されるはずだったものの、連載中のナンシー関の急逝によりこの一冊で完結している。
対談集は書き物と違って練られた話題や笑いがないから、普段はさほど好きではない。しかしこの本は不思議と読んでいて飽きなかった。リリー・フランキーとナンシー関のコンビネーションがかなりいいからだと思う。
話題はエッセイや消しゴム彫り(ナンシー関は消しゴムスタンプで似顔絵を彫ることで有名なのだ)など各々の仕事について、カラオケや酒など遊びについて、それから若者の「かっこいい」、涙の意味、旅etcetc、とにかく多岐にわたる。
以前からエッセイや小説を読んで、リリー・フランキーはかなり頭がいい人だと思っていた。普段はあんな感じだけど、かなり物事を深く考えられる人だと思う。
それでこの対談集を読んで、改めて彼の洞察眼に関心した。
例えば携帯電話について
「人同士のコミュニケーション形態を変えてますよ。『連絡ついて当たり前』とみんなが思い始めてるから」
若者の「ピース」について
「今流行のポジティブなものにはカオスがないんですよ。一生、言い続けていそうな強さも感じない。そういう精神性の中のカッコよさの基準は理解できない」
泣くことについて
「ほとんど世の中の涙は、泣こうとして出る涙ですよね。やっぱり出る前に考える暇がある涙って、何らかの着地点を持ってる。自分を投影したりとか」
など。
普段から自分を含む世界を俯瞰していないと、トークのライブである対談でこれだけ的を射た名言は出てこないと思う。
ところで、以前からナンシー関の名前は「笑える本」近辺に出てきていて知っていたのだけど、本書のあとがきによると、リリー・フランキーはかつて「男版ナンシー関」と呼ばれていたそうだ。ということは、リリー・フランキー好きの僕にはナンシー関のエッセイもはまるってことなのかな。
てなわけで、ナンシー関を気になる人リストに加えておく。
追記
その後まもなくナンシー関におおはまり。
なお、本書内で語られている「コンビニ弁当の特許」のくだりは、『信仰の現場』の取材のときの話。
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