笑える本を読もう! >
ナンシー関のエッセイ【書評一覧】 > 信仰の現場~すっとこどっこいにヨロシク!~
ごくごく限られた世界の中でのみ猛烈に支持を得ているもの。そして外の世界からはどうでもいいことにしか思われないそれを「絶対的真理」として妄信する人々のさま。
これらをしてナンシー関は「信仰」と呼ぶ。
矢沢永吉ライブにおける矢沢永吉、子役とその家族にとっての劇団ひまわり、観覧者の見る笑っていいとも、「タイ」が絶対的価値基準であるキックボクシングファン、カリスマ視される「洗濯機のくずとりネット」を発明した主婦、etc。
これら、その空間の中でのみ異常なまでに共有されるコンセンサスを覗き見に、ナンシー関が実際にその現場に潜入する、体験ルポ型エッセイ。
これまで数冊読んだナンシー関のコラムはすべて「テレビ」と「芸能界」だったけど、そういう意味ではまったくナンシー関らしくない一冊だった。
ごく一部の、しかし確実に一定量存在する人たちの間でのみ絶対的なものとして認められている価値観を、変だなーと笑いながら、ときに「ミイラ取りがミイラ」になったりして楽しむ感じがよかった。
潜入は出版社がアポイントを取り付けてくれるというものではないらしく、というよりも取り付けてしまったら書きたいことが書けないとの理由で、「無許可ゲリラ」で取材が行われていたという。
その際、いちいち自らを「子供を”ひまわり”に入れたいと思っている親」や「発明でもやってみようかと思ったけど、何から何まで皆目見当がつかないのでとりあえず”発明学会”に来れば何かわかると思って来た」人などと称して潜入するあたりが可笑しい。
失礼なんだか気が利いてるんだか。
ところでその「発明学会」で発明のネタを話したら先生からいたく気に入られ、実際に特許を取る運びになったと書いてあるのだけど、いったいどんな発明だったんだろうか。
文中にはヒントとして「コンビニ弁当の漬物」とだけ書かれている。
そういえばたしか別のコラムのどこかで「コンビニ弁当の漬物まで温まるのが許せない」みたいなことを言っていた気がする。
たぶん漬物だけレンジでアツくならないような仕組みかなとは思うんだけど、実用化はされたんですかね。
ご存知の方いらっしゃったら教えてください。
追記
なんてなことを書いていたらすぐに分かっちゃった。
リリーフランキーとの対談集『小さなスナック』の最初らへんに書いてあった。
「私、漬物やサラダが熱くならない方法を考えたんですよ。特許を申請しようと思ったくらい…中略…いや単純にね、アルミホイルは電磁波をはね返すから、透明の蓋の漬物部分だけアルミにするということ。」
という発明だったのだとか。
ただし、書類が面倒で出願しなかったとのこと。
PR
SHARE THIS!!! |
Recommend
松尾スズキ (小説)
クワイエットルームにようこそ
中島らも (エッセイ)
中島らものたまらん人々
町田康 (エッセイ)
猫にかまけて
奥田英朗 (小説)
ララピポ
森見登美彦 (小説)
夜は短し歩けよ乙女
クワイエットルームにようこそ
中島らも (エッセイ)
中島らものたまらん人々
町田康 (エッセイ)
猫にかまけて
奥田英朗 (小説)
ララピポ
森見登美彦 (小説)
夜は短し歩けよ乙女
Sponsored Link