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書評ブログの【笑える本を読もう!】

書評ブログの【笑える本を読もう!】


作品名: スズキが覗いた芸能界
作家名: 松尾スズキ
ジャンル: エッセイ・対談

笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆★★★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆★★★
松尾スズキその他のエッセイ 
【書評・あらすじ】
寝言サイズの断末魔』を読んで以来松尾スズキブーム再来を遂げたのだが、よく考えたら文庫化されている松尾スズキの本は全部持っている。
 なんでえ、じゃあ昔読んだのを再読するしかねえんか。ついでにたぶんこのブログでも全部紹介済みだろうから、収穫もすくねえや。とくさくさしていたら、本棚の隅に眠るようにこの一冊が置かれていた。
『スズキが覗いた芸能界』
 うーむ、読んだ記憶がない。中身をパラパラ開いても何一つ思い出すものがない。
 ついでにいうと、ブックオフの値札が付いていないことや、中に新刊の広告が挟まっていることから、どうも新品で買ったものらしい。俺らしくないね。

 ぶっちゃけていうと、ここ数年うつ病をやっていた。
 今でこそずいぶんと良くて、薬を減らす方向で話も進んでいるんだけど、とにかくうつ病のひどかった頃に自分のしたことというのはよく分からないことが多い。記憶も意識も混濁していたから、その間わけのわからないことを大いにしでかしているのだ。具体的にはかけないけど、いろいろと。
 そんなうつ真っ只中のころに買っていたのがこの一冊らしい。買ったはいいがなんか序盤で心が折れて読まなかったんだろうと思う。あるいは買ったことを忘れたのか。まあよく分からんのだけど。
 ところで、うつ病のときって普通よりタナトゥスに傾斜しているから、松尾スズキの死に対する乾いた感じはしっくりくる。
クワイエットルームにようこそ』なんかまさにそう。この小説にオーバードーズの話しなんかが出てくるんだけど、それに触発されて自分がもらっている抗うつ剤やらなんやの致死量を調べてみたこともあった。とはいえこれは死のうと思っていたわけではなくて、うつのときには手段を知っているということがお守りになってくれることもあるのだ。
 手元にはちょうど抗うつ剤が50錠ほどたまっていることもあるし、と思って。
 それで調べたら、まあ、5000錠必要だったんだけど。

 閑話休題。本書『スズキが覗いた芸能界』の紹介。
 松尾スズキがまだ売れてない頃に始まった連載をまとめたエッセイ集。「かろうじて芸能界に足を踏み入れた」素人同然の松尾スズキが、進行形で芸能人になってゆく様を語る。
 とはいえ、その連載は隔月刊誌で、年に6回しか発行されない。その上一回の連載が2ページほどなので、一冊の本になるために6年かかったという。
 さらに6年がかりでもページ数が満たないためか、本書には松尾スズキの一人語りや、奥菜恵・爆笑問題・阿部サダヲらとの対談集などが追加収録されている。
 いずれも豪華な顔ぶれだ。特に笑える本的には爆笑問題と松尾スズキの組み合わせはかなりアツい。話題は当時放送されていたバラエティ番組「バク天」について。松尾スズキ出てたんだ!

 また、エッセイの内容も興味深いもので、松尾スズキが姉ちゃんのヒモをしつつ人体実験のバイトにいそしんでいた時代から、ラジオやテレビでの初仕事を経、徐々に「芸能人」になってゆく様が語られている。主に役者と脚本家としての話。ちなみにテレビ出演の初仕事は「世にも奇妙な物語」の「行列」だったそうだ。その話、世良公則主演だったやつだ。すげえ覚えてる!
 本の印象としては、芸能関係の仕事を媒介とした自伝のようなもので、そこが好きだった。もうちょっとその辺にボリュームがあればよかったんだけど。

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作品名: 寝言サイズの断末魔
作家名: 松尾スズキ
ジャンル: エッセイ・絵日記

笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆★★★★★
ス:☆☆☆☆★★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆☆★★
松尾スズキその他のエッセイ
【書評・あらすじ】
 久々に松尾スズキ。 やはり今、笑いを書かせたら松尾スズキがダントツだと改めて思った。
 なんかいろんな意味で、ギリギリ。というか倫理的な意味で、ギリギリ。
 もうほんと、すんでのところで、ギリギリ。

 2001年から2002年までに「週刊SPA!」で連載していたエッセイ(絵日記?)をまとめたもの。
「三原じゅんことコアラを下北沢で目撃。」
 という一文からこの本は始まるのだが、その後、ボクが数えた限り、驚いたことに同じ文章がこの本の中で5回は登場する。
 わずか一年というこの短い期間の間に、三原じゅんこ・コアラ(元)夫妻を5回も目撃するあたり、すでに何か松尾スズキの松尾スズキらしさがにじみ出ているというか、その後の2人の未来をスズキが運命付けたんじゃないかというほど、よくわからんがなんとなく松尾らしいエピソードなのだ。

 その他、終電の網棚で熟睡するレディと遭遇したり、見知らぬおじいさんに「おかあさん」と話かけられたり、「わたしの具合が悪くなったのはですね…略…ご飯を作るのに二時間かかっちゃうから主人もね、職人気質だから言葉が荒くなって。ほんと死ぬことばっかり考えちゃうんです」整骨院の受付で切々と相談するおばさんと出くわしたり。
 このギリギリ感。
 このギリギリアウトな感じ。
 松尾スズキらしくて好きだなあ。

 なお、このエッセイ(日記?)連載中はまだ、元嫁の松尾妻子さんとは夫婦で、ときどき妻子さんも話に出てくる。
「今、オキメグと中谷美紀ちゃんと山口沙也加ちゃんと四人でリンボーダンスやってるの」と真夜中に電話してくる、寝言で「全身全霊で行きます!」と叫ぶ、などかなりエキセントリックな人格をうかがい知ることができた。
 なんかそれはそれでいい夫婦っぽいんだけど、残念ねえ(松尾妻子さんとはその後離婚。松尾スズキは離婚の理由について「あまりにも忙しすぎた」と語ったというが、たしかにこの本を読む限り、忙しすぎたんだね)。

 解説は奥田英朗。
 なぜ!?と一瞬おどろいたが、よく考えたら両者は『イン・ザ・プール』の原作者と映画の主演という関係ありありの二人だった。

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