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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 老人賭博
作家名: 松尾スズキ
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆★★★★★
ス:☆☆☆☆☆★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
松尾スズキその他の小説
【書評・あらすじ】
 1年くらい前に松尾スズキの新作が出たことを知りつつ、ブックオフに流れてくるのをずっと待っていた。
 それがとうとう発見。鹿児島ブックオフ事情も捨てたもんじゃないぜい(自転車で片道30分かかるけど)。

 26歳、貯金はなく借金は200万。マッサージ師として密室でひたすら客のこりをほぐしながら、金子堅三は老人になるまでの残り数十年の退屈をなんとかしのごうとしていた。
 しかし金子のもとに海馬吾郎がマッサージを受けにくることで、金子の人生に転機が訪れる。海馬は知名度のまったくない脚本家、監督にして俳優なのだが、金子は偶然彼のことを知っていて、なおかつ海馬が監督した唯一の映画のファンでもあったのだ。
 そんなこんなでなりゆきで海馬の弟子っぽいものになることになった金子は、あるとき海馬に連れられて北九州市白崎のシャッター商店街で行われる撮影に行く。
 シャッター商店街。その退屈な撮影現場では、喧嘩の勝ち負けから撮影のNG回数までもが皆の賭けの対象となっていた。
 そんな撮影現場での一つの賭けの勝ち負けに奔走する人たちの悲哀(?)が描かれる作品。

 松尾スズキに関しては『クワイエットルーム』や『同姓同名小説』での期待があまりにも大き過ぎたためか、この『老人賭博』ではなんだか肩透かしをくらっちゃったような気がした。もうちょっとめちゃくちゃな話を期待していたんだけど。
 しかしまあ、細部はやはり松尾スズキらしく、かなりブラックで笑えるシーンがあったのでいっかな。上の2作のように特にすごいと思うようなことはなかったけど、逆にいうと読みやすい作品だったんではなかろうか。

 なお、海馬のモデルは恐らく松尾スズキ自身で、序盤の小話ででてくる御手洗恭二は温水洋一がモデル。実は温水さんは劇団大人計画の創設メンバーでもあったのだけど、若かりし日に相棒の松尾スズキとの間にひと悶着あって以来絶交状態なのだ。というのも温水はあろうことか当時の松尾の女を寝取っており、松尾はそれ以来そのことをずっと恨んでいるのだ。そのときのことはエッセイでしばしば言及してあるが、この小説でもその話しがでてきたので、未だに恨んでいるのかとびっくりした。
 ちなみに松尾スズキのツイッターによると、主人公金子のモデルは門手なる人物なのだそうだ(老人賭博の主人公のモデルになった門手って男が今臨時付き人をしてくれているのだが、「飲むと手術をした顔が腫れる」ってんで、店に連れてっても白飯ばかり頼む…松尾スズキのツイートより)。
 さらになお、小説の舞台となる「白崎」は、北九州市の「黒崎」がモデル。たしかに黒崎は小説どおりヤンキーとヤ○ザの街で、駅前には巨大なシャッター商店街がある。このあたりいったいはもともとは工業で栄えていて、少なくとも10数年前までは商業施設なんかもあってにぎわったように記憶しているが、今では完全に飲み屋と風俗とドンキホーテの街になっている。この「過ぎ去った感」がなんとも味わい深いところだ。実は僕は学生時代に、この街にある黒崎マーカスというライブハウスによく立っていたので、けっこう思い入れのある街だったりもする。
 なんにせよ松尾スズキは北九州出身なので、地元を舞台の小説になったんだろうね。松尾スズキの北九州に関する話は『星の遠さ寿命の長さ』に詳しい。

~~~~~~~~~~~追記(2013年2月16日)~~~~~~~~~~~
 はい、ということで、上記の文章に思わぬ後日談がついたのでここに記しておきます。
 なお、上の文章は2011年6月5日に書いたものです。ちょっと覚えといてください。

 今日、街で2時間ほどつぶさなければならなくて、紀伊国屋で本を物色していたんです。
 でこの『老人賭博』が文庫化されているのを見つけて「おー」なんて思いながら、しかしまあ単行本を持っているので、文庫版の解説だけ見てみようと立ち読みしていたわけです。
 解説はミュージシャンで脚本家のケラリーノ・サンドロヴィッチ。かつてナゴムレーベルで大槻ケンヂを見出した人だったりするので、けっこう僕にはなじみ深い名前なんですね。
 それで、おー、ケラさんどんな解説書いたんだろうとすごくわくわくしながら解説を読み始めたわけです。

 ところが…なんというかその文章に凄い既視感を感じるんですよね。この解説の文章どこかで見たことがある。
 でまあ、察しのいい方はお気づきのことと思いますが、なんとケラさんの解説にこの記事がそのまんま引用されちゃってるわけですよ。
 さっき覚えておいてもらったように、この記事が先ですからね。
 また、<白崎=黒崎>ネタや、「<海馬=松尾スズキ>なぜなら温水」というくだりなんかもそのまんま解説に使われている…。
 ここに僕がかいたことがかなりの濃度でパクられ、いやもとい、「参考に」されているわけです。
 びっくりしたけど、あのケラさんがこのページを見てくれたんだなーといううれしさと、あのケラさんが解説を頼まれて大急ぎで「老人賭博 あらすじ」とかいうキーワードでシコシコ検索したんだろうなという可笑しさで、もう許せちゃう。

 そんなわけで紀伊国屋でこの解説を見てしまって、本当は単行本があるからいらないんだけど、驚きのあまり思わず文庫本買っちゃいました。
 文章パクられたがために本を買っちゃうというとてもレアな形で、ケラさんの解説は見事1冊の売り上げに貢献したのでした。
 せっかく買ったので、証拠写真。roujin01.JPG
 赤で囲った部分がこの記事と同じ内容です。いやはやびっくりだね。
 まずはこの記事冒頭のあらすじ。
 そのまんま引用されてます。

roujin02.JPG そして温水と黒崎の話。
 「いつか誰かに聞いたような気がする」ってそりゃこのブログを見たときにこの記事で知ったんだろうが!「半ば憶測と頼りない記憶で書く豆知識」ってそりゃ俺のセリフだ!ほっとけ!

そんなわけで、松尾スズキの『老人賭博』文庫も絶賛発売中!
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作品名: 宗教が往く
作家名: 松尾スズキ
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆★★★★★★
ス:☆★★★★★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆★★★
松尾スズキこの他の小説 
【書評・あらすじ】
 小説が始まるまでの前書きだけで本一冊分。
 全編で多分4、5冊分の長さあるんじゃないか。
 とにかく長い。よくこんなん書いた。松尾もスズキも頑張った。えらい。
 しかしどうも日記的エッセイの『実況生中年』によると、長くなりすぎて一向に物語を閉じることが出来ず、筆者超多忙のなか、無理やっこ小説を終了させてしまったようだ。それでそんな松尾スズキ自身のあわただしい感じがしっかり小説のエンディングに反映されているあたりが悲しい。

 ここまで長いとあらすじ説明する気もうせる。笑えるちゃあ笑えるし、面白いちゃあ面白い。ただ万人ウケは絶対にしない。そんな一冊。
 前書きは筆者である「ワタシ」が作品の中に消えるまで。恋人とのことなど。
 本編は「The 大人計画」といった感じ。アンダーグラウンド。死とセックスと宗教とギャグ。
 大多数の人が苦手だろうけど、好きな人はまあそれはそれでいいんじゃないだろうか。
 
2010年11月に文庫化。まさか文庫化されるような本とは思っていなかったのでブックオフで見つけて驚いた。単行本では上下2段組の400ページ越えという恐ろしく長大な小説だと思っていたけど、意外と文庫化してみると上下2巻に納まっていた。
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