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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 家日和
作家名: 奥田英朗
ジャンル: 短編集

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★
ス:☆☆☆☆☆☆☆☆★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
奥田英朗その他の小説
【書評・あらすじ】
 家庭にまつわる話しが6話掲載された短編小説集。
 どの話も激的な展開はないのだけど、どれもほっかりしていて、読んでいてとても心地よい短編集だった。久々に人に大いにおススメしたくなる一冊だった。
 以下いくつかあらすじを。

サニーデイ
 不要になったピクニック用テーブルを、何とはなしにネットオークションに出品した主婦紀子。
 ネットオークションでの購入者とのやりとりや、「サニーデイさんはとてもいい出品者でした」なんていう取引後の「評価」を得ることに喜びを感じ、次第に不要なものを売るためというよりも、ネットオークションという行為それ自体にはまってゆく。
 この話はネットオークションをやったことがある人ならいたく共感できると思う。というかおそらく奥田英朗自身がどっぷりヤフオクかなんかにはまったことがあるに違いない。でなければあのオークションの楽しさ、危うさをここまでリアルに書くことは不可能だと思う。

ここが青山
 裕輔が遅れて朝礼にもぐりこむと、折も折、朝礼では会社の倒産が発表されていた。《ビッグなサプライズ。本日当社倒産!》そのことを妻の厚子に極力明るくメールで告げると、厚子はすぐさま妊娠時にやめた会社への再就職を決めていた。
 かくして晴れて専業主夫となった裕輔。どうも会社勤めより主夫業が肌に合っているらしい。
 しかしなかなか世間には男が喜んで主夫をしていることが分かってもらえず、会う人会う人に「人間いたるところに青山ありだ」なんて励ましの言葉をかけられてしまう。

家においでよ
 妻の仁美との関係が冷め、しかし取り分けて事情があるわけでもないのに即離婚というのは世間体が悪いので、ひとまず冷却期間として別居することになった正春。
 インテリアにこだわる仁美は、部屋のよさ気な家具を一式もって、家から出て行ってしまった。
 さて家具が消えてガランとした部屋に残された正春。別に何の感慨もないんだけど、さすがにだだっ広い部屋にぽつんといるのは嫌なので、自分で家具を買いにいくことにする。
 しかしこの家具選びがやたらと、面白かった。
 これまで妻にまかせていた家具選び。これをすべて自分好みの家具をそろえる楽しさに目覚める正春。
 幸か不幸か手元にはマンション購入用に蓄えていた金があったこともあり、自分好みの家具を次々とそろえてゆく。
 かくして完成した「正春の部屋」は、実は既婚男性がだれでも裏やむ、「男の城」だった。

妻と玄米御飯
 最近賞を受賞したばかりの小説家、康夫。
 突然降って湧いて出たあまりの生活の一発逆転に、一家揃って金の使い道に戸惑いを覚えていた。
 しかしあるとき食卓に並ぶと、御飯が玄米御飯になっているではないか。
 なんでも妻がロハス(健康と地球の持続可能性を志向するライフスタイル、とのこと)にはまってしまったらしいのだ。
 どうも妻は佐野という近所に住む美男美女夫婦に触発されてロハスをはじめたらしい。
 まあそれはいいのだが、まずいことに康夫の職業は小説家だった。
 現実の滑稽さを皮肉らずにはいられないタイプなのだ。
 そんな康夫にとって、ロハス信仰を妄信する信者たちは、かっこうのネタの材料だった。
 ご近所さんや妻を売るか、ネタを諦めるか、康夫の葛藤が始まる。

 ほか2編。
 解説は漫画家の益田ミリ。なんでも奥田英朗がまだスポーツコラムニストで「延長戦に入りました」を連載していた頃からのファンで、当時ファンレターを出したことがあったらしい。
 そのファンレターにはきちんと本人から直筆の手紙が返信されてきたのだとか。
 なんと書いてあったかはこの本の解説で確認してね。

 以上、福岡での更新終わり。
 明日からは鹿児島へ移住します。

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