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書評ブログの【笑える本を読もう!】

書評ブログの【笑える本を読もう!】


作品名: お縫い子テルミー
作家名: 栗田有起
ジャンル: 中編小説

笑:☆☆☆☆☆★★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆★★★★★
栗田有起の他の小説 
【書評・あらすじ】
 芥川賞候補作となった表題作の中編小説「お縫い子テルミー」と、同じく中編小説「ABARE DAICO」が収録された一冊。
 笑える本的には「ABARE DAICO」がクスリと笑える感じだった。
 父親は「いない」ことになっている(が、よく電話で話をする)母子家庭で育った主人公の小学生、コマ。
 親友の美少年でしかも秀才、オッチンに憧れており、いつかオッチンのように「小松、すげえ」と呼ばれるのを夢見ている。
 そしてその夢をかなえるためにさしあたって、コマはあらゆる知り合いの名前(スーパーの店員含む)を覚えようと努めている。

 そんなある夏、コマは体操服を無くしてしまう。買いなおすには6000円もかかってしまう。
 そしてコマは、自分の家が母子家庭で貧しいことを知っている。
 そこでコマは思いつく。
 母親に迷惑をかけないために、留守番のアルバイトをして自分で体操服を買おうと。
 しかしそうして留守番をまかされた家の主人はどう見ても危ない人で、部屋も壁一面がビデオテープで埋め尽くされるなど、様子がおかしいことになっている。
 しかもコマは小学生ながら、下着泥棒の容疑をかけられ警察にマークされてしまう。

 とまあ、あらすじはざっといってこんな感じ。
 基本的なテンションは相変わらず栗田有起らしく、あまり劇的にならずにしれっとしている。
 実はコマが泥棒の容疑をかけられたときに母子家庭の問題が深刻に物語りに絡み付いてきたりもするのだけど、それもあまり深刻になりすぎず、さらりと物語に溶けてゆく。
 ギャグも深刻なできごとも「そういうもの」として流れてゆくのが、この栗田有起という人の書く小説の面白さなのかな。

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作品名: オテルモル
作家名: 栗田有起
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆★★★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
栗田有起の他の小説 
【書評・あらすじ】
 ビルとビルの間にわずかに開いた隙間。その細い空間を横向きの姿勢になってなんとか入り込んだところにエントランスがある、地下13階建ての風変わりなホテル。「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」。
 ビジネスホテルとして、客に「最高の眠り」「最良の夢」を提供することを目的としている。
 新しくそこに受付として勤めることになった主人公、希里。
 その「誘眠顔」を見込まれてホテルの受付に採用されたのだ。

 とここまであらすじを書いていて、相変わらずだなーと思った。ちなみにこれはいい意味だ。
 栗田有起は以前に中編の「ハミザベス」を読んだが、どうもこのしれっとしたとぼけ具合というのがこの人の持ち味らしい。
 だいたいなんなんだ、「誘眠顔」って。

 物語の筋としては、希里のホテル・モルでの勤務の様子と珍妙な客たちが描かれるのと平行して、希里の家族、とりわけ双子の妹、沙依との過去が描かれていく。
 妹の沙依は中学生の頃から壊れ始め、現在は覚せい剤の治療のために入院している。家にはその娘の美亜と、沙依の夫で希里の元恋人でもある「西村さん」がおり、希里はその二人と複雑な構成の家庭を形成している。
 実はこのように、物語はややこしくて結構ダークなはずなのだ。
 しかし栗田有起の面白いのは、ギャグがそうであるように、この暗いテーマさえもさらさらと流れてゆくことだ。
 とてもライトで、さも自然なことのように流れてゆく。

 この作品については、「ユーモラスでさらりとした読み口のシリアスドラマ」というどっちなんだかよくわからない言葉で評しておく。しかし読めばわかってもらえると思う。

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