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中島らものエッセイ【書評一覧】 > じんかくのふいっち
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作品名: じんかくのふいっち1・2 作家名: 中島らも わかぎえふ ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆★★★★ ス:☆☆☆☆☆★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 中島らものその他のエッセイ |
中島らも(社長)と当時マネージャーをしていたかわぎえふ(社長秘書)の共著。「体育会系の女」と「文科系の中年」、性格の対照的な二人が同じテーマについて各々に思いをつづる。
「おばさんとはひとつの精神状態の呼び名だ」(1)
「暗い自転車少年」(2)
「『若者には夢があって当然だ』という態度に腹が立ちますね」(2)
など、名言・名フレーズが多くみられた。
また、(2)にて語られる「ガンジー石原金縛り事件」がとてもいい味だしていてよかった。劇団リリパッド・アーミーの俳優、ガンジー石原と、彼の部屋に出るという2歳の子どもの幽霊との心温まるエピソードが記されている。
ところで僕は無類の「笑える本」好きで、好きが高じてこんなブログまでやってしまっているのだが、そもそもこの読書の傾向には、「現実がかくも悲しいというのに、どうして本を読んでまで悲しい思いをせねばならないのか」という思いが関係している。
僕はもともとデフォルトの状態で人よりも悲嘆したがりなところがあるのだが、特にここ数年はヘビーなできごとが続いたので、実生活で十分に悲しいことがあるというのにわざわざフィクションでまでそれを再体験しなくても、という思いが強くなってきたのだ。
そのようなわけで本を読むとき、そして映画をみるときなんかは、極力明るい気持ちになれるものを見るようにしている。
しかし今回『じんかくのふいっち』を再読していて、もしかするとこの考えかた自体中島らもの影響なのではないかと、ふと気になった。というのも、恋について語った項目で、らもさんがこのようなことをおっしゃっておられたのだ。
「せめて映画くらいはハッピーに作ってほしい…中略…それでなくても悲しいことの多いのが現実の世の中なのだ」
この本を読んだのはだいぶ前のことなので定かではないのだが、やはりこういった考え方自体、中島らもからの影響なんかもしれない。だとしたら、人としての発想自体が「パクリ」ということになってしまうわけで、なんだかそれはさすがにねえ。
2冊目はこちら。 1巻2巻、同じようにわかぎえふと中島らもが交互にエッセイを執筆。 |
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中島らものエッセイ【書評一覧】 > 僕にはわからない
作品名: 僕にはわからない 作家名: 中島らも ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 中島らものその他のエッセイ |
エッセイスト中島らもはさまざまな顔をもっている。
基本的にはバカ話の好きなおじさん。そしてときとしてロマンチスト、ときとしてキザでもある。
これらは絶妙なバランスで共存し、中島らものエッセイを中島らものエッセイたらしめている。
しかしなにより中島らもの大きな特徴は、日本屈指の進学校、灘中学に上から9番の成績で入学したというその頭のキレのよさにあると思う。
これは勉強ができる云々ということではない。実際中島らもは高校に進学後「落ちこぼれ」たというが、そんなことはどうでもいいのだ。
博識で、難しい事柄や抽象概念を明快に理解し、そしてそれらの知識をきちんと整理して提示する能力がある。
そういう「頭のよさ」こそ中島らもの特徴の一つなのだ。
しばしば「ペダンティック」と批判されることもあるようだが、しかしそれこそが中島らもの大きな魅力だと思う。
さて、この『僕にはわからない』だが、そのタイトルとは裏腹に、中島らもの「ペダンティック」な部分が堪能できる。
というのも、「わからない」話しがテーマになっているものだから、内容がやや難しめなのだ。
例えば「死」について、「知」について、「真理」について、など。
これらはジョルジュ・バタイユの「連続と不連続」という概念や、ユングの「集合的無意識」といった言葉が用いられながら語られている。
本当にこの博識さにはただただ舌を巻くばかり。
そのほか、「ケニアの呪術師」が興味深かった。
ケニアに『ガダラの豚』のための取材にいった際の様子が描かれている。
現地では実際に呪術師と会うことができたらしいのだけど、帰国後しばらくするとその呪術師からスワヒリ語で書かれた長文のエアメールが届いたという。
呪術師から長文のエアメール…ただならぬ予感を感じさせるではないか。
さてさてその手紙の気になる内容は。
ところでこの記事を書いてみて気づいたのだけど、この一冊は弱冠ファン向けな内容だったかもしれない。
僕は好きだから楽しく読めたけど、かなり難しめの内容なので、導入がこれだったら抵抗があったかも分からん。
そして中島らもの面白さをを知らずに「け、ペダンティックなクソ豚野郎」などと評価を下されるのはあまりにも悔しい。
そんなわけで、中島らもが気になる人は、先に『中島らものたまらん人々』や『明るい悩み相談室』などを読んで、まず中島らもを好きになってから挑戦してみてほしい。
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