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中島らものエッセイ【書評一覧】 > 固いおとうふ
若くて貧乏な頃に酒を覚え、さりとてとにかく金がないので、安酒ばかり飲んでいた。酒の肴は、店で一番安い固いおとうふだった。
そんなエピソードからタイトルが付けられたエッセイ集。
これといった一貫したテーマはなく、芝居のこと、講演のこと、若かりし頃のことなど、徒然に綴られている。
連日の舞台の稽古のせいで汗をかきインキンになってしまった中島らも。
しかし小説は執筆しなければならない。
そこでインキン治療のためにキン○マをパンツから出しつつ、
「ヴィクトリア湖にのぞむサンセットホテルに一行が着いたのは夕方であった」
なんてエピソードが可笑しくて好きだ(「今日も元気だ締切が近い」)。
また、「万願寺の怪」での不気味体験なども印象に残った。僕は無類の怖い話し好きなのだ。
そして最後に掲載されている「わが葬儀」での、自らの死に方を予言するような一文も特筆すべきだろう。
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