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中島らものエッセイ【書評一覧】 > 恋は底ぢから
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『獏の食べのこし』と並んで、中島らもにはまるきっかけとなった一冊。
中島らもの魅力は、博識と笑いと下品さと美が同居しているところ。しょうもない笑い話をとことん言い倒したあとに、ふいに真顔になったかと思えばとびきりキザなことを言ったりする。
途中はさまれる恋愛詩「チビの女神さまへ」と恋愛小説「恋するΩ病」なんか見てると、男でもポッとしてしまうほどにキザでダンディでかっこいい。
「恋は……世界中で一番美しい病気だ」
なんて言葉を嫌味なくいってくれちゃうのだ。
しかし直前のエッセイでは、「土人」について熱心に語っていたりするから、どこまでも憎めない人なのだ。
この本で特筆すべきは「その日の天使」。
どうしよもないほどに込み入った事情の中、逃げ道も見つからず、もうだめだ、死んでしまおうか、と思ったとき、ふと遠くからこんな言葉が聞こえてくる。
「やっきいも~やっきたて~ほっかほっか」
思わず笑ってその日をなんとかやっつけて、そうやってらもさんは死ぬまで生きた。
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