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三浦しをんのエッセイ【書評一覧】 > 夢のような幸福
※今回の記事では「(※)」のタイミングで上のamazonの広告を見てください。
僕はクールだ。
人に尋ねると、単に口下手で人見知りなだけやろ、としかられることしばしばだが、そういう心無い言葉に耳を傾けてはならない。
他人はしょせん他人なのだ。なーんも分かっちゃいないよ。
ついでにやつらは地獄に堕ちるといいのだ。煉獄の劫火に身を焦がすといい。
ああ、悲しいかな。僕はクールだ。
ところで文庫本はクールを演出するのに向いている。
喫茶店なんかに颯爽と入り、カフェラッテ、カフェモッカ、キャラメルマッキャートあたりを注文する。
そして窓辺の席を陣取って、紫煙をくゆらせながらぱらりと文庫本を開くのだ。
その際、煙たげに目を細めることをわすれてはならない。
ああクール。
カッフェの店員さんから「窓辺のクールマッキャート」かなんかあだなされたりして、ああ、もう…ぼかぁ、だめだ。
このように、文庫本でクールガイ、ついでに女の子からモテモテ作戦を常時敢行し、いまだかつて成果を一つも上げていない僕なのだが、今度ばかりは自らの失敗を認めざるをえない。
というのも先日、移動中にいつものように周囲の女の子の目を意識しながら、ぱらりと文庫本を開こうとしたのだが、この本を取り出した瞬間「あ、こりゃあかん」と悟った(※)のだ。
何度も書いてきたとおり、僕はクールだ。
どちらかといえば服装も「大人っぽい」とかいわれそうな(実際にいわれたことはない)ものを選んでいるし、立ち居振る舞いもそれを意識して慎ましく振舞っているつもりだ。
が、僕のパーソナリティがどうであれ、しょせんはこれ(※)なのだ。
いや、むしろ大人っぽければ大人っぽいほどまずいんじゃないかな、これ(※)は。
どうみてもただのロリコン野郎ではないか、これ(※)じゃあ。
と思わぬ失態を演じてしまったため前置きが長くなったが、三浦しをんの『夢のような幸福』だ。
三浦しをんは直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』がかなり気に入ったので、今度はエッセイを読んでやろうと前々から思っていたのだ。
やはり笑えた。
営業の人に怪しまれずいかにパンパ(パンパースのあのクマのキャラクター)にファンレターを出すか友人と話し合い、小説を読んでは登場人物のボーイズラブを妄想の中で発展させ、時には「部屋に土嚢を積むことを想像して、うっとりと」してしまう。
妄想妄想また妄想。表紙(※)とは裏腹に、内容はそんな風にはかわいらしくないのだ。
かといって妄想系(大槻ケンヂとか)に特有のアンダーグラウンドさもなく、とても適度な妄想具合だった。
ところで「B温泉」としてこのエッセイ集に登場する、大分の温泉街、別府温泉は本当にいい味だしている町だ。
近隣の温泉街、湯布院や黒川温泉は観光客用に演出されたニセモノ感があるが、別府はもう間違いなくホンモノなのだ。
半動物園と化した「地獄温泉」があるかと思えば、ひなびた温泉街につきものの「秘宝館」が例のごとくといった具合にある。
迷い込んだら二度と出られないのではないか、と恐ろしくなるような妖しさがあっていい町だ。
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三島由紀夫の小説【書評一覧】 > 三島由紀夫レター教室
レター教室/三島由紀夫
【あらすじ・ひとこと】
5人の登場人物が書いた手紙をレター教室の文例集として掲載した、という設定の小説。
劇中に地の文(「そのとき彼はふらりと立ち上がり、そしておもむろにこういった」みたいな文)は存在せず、ストーリーはすべて手紙の中で描かれる。
つまり、仮に僕があなたに「なめとんのかい、われぇ、ぬっころしたろか!ぼけぇ!」という手紙を送っていたとして、次のあなたへの手紙で「この前はショートケーキ、ありがとうね」なんて書いていたら、その様子は直接描かれないにしても、読者には、僕がいったん切れたけど2通の手紙の間に結局仲直りしたんだ、と伝わるということ。
そんな感じで物語が進んでゆく。
そこがこの小説の最大の仕掛けだし、とても面白いところだった。
いさかいと恋とユーモア。
登場人物たちがつむぐ人生という喜劇の断片。
クスリと笑える感じでよかった。
笑:☆☆☆☆☆☆★★★★(笑える度)
楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★(楽しめる度)
ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★(人におススメできる度)
危:☆☆☆☆☆☆★★★★(図書館など静かな場所で読んだら危険度)
【あらすじ・ひとこと】
5人の登場人物が書いた手紙をレター教室の文例集として掲載した、という設定の小説。
劇中に地の文(「そのとき彼はふらりと立ち上がり、そしておもむろにこういった」みたいな文)は存在せず、ストーリーはすべて手紙の中で描かれる。
つまり、仮に僕があなたに「なめとんのかい、われぇ、ぬっころしたろか!ぼけぇ!」という手紙を送っていたとして、次のあなたへの手紙で「この前はショートケーキ、ありがとうね」なんて書いていたら、その様子は直接描かれないにしても、読者には、僕がいったん切れたけど2通の手紙の間に結局仲直りしたんだ、と伝わるということ。
そんな感じで物語が進んでゆく。
そこがこの小説の最大の仕掛けだし、とても面白いところだった。
いさかいと恋とユーモア。
登場人物たちがつむぐ人生という喜劇の断片。
クスリと笑える感じでよかった。
笑:☆☆☆☆☆☆★★★★(笑える度)
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