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東野圭吾の小説【書評一覧】 > 超・殺人事件
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作品名: 超・殺人事件‐推理作家の苦悩 作家名: 東野圭吾 ジャンル: 短編小説集 笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆☆★★ ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 東野圭吾その他の小説 |
ミステリー作家たちを登場人物にした、8話の短編が収録されている。
いずれも物語の軸として、作家たちが描いた小説が劇中劇という形で描かれているのが面白いところ。
「超税金対策殺人事件」が特に笑えてよかった。
突然人気作家になってしまったミステリー作家。
膨大な税金をなんとかするためにレシートをかきあつめ、すべてを取材費として落とすことに決める。
しかし、夫婦でいったハワイ旅行、ゴルフセット、妻の実家の風呂の工事etc.etc、いずれも小説に描かれていなければ取材費としては認められないという。
年内の連載は残すところあと一回。
そしてそこにすべてを描かなければ、年末にはとんでもない額の税金が徴収されてしまう。
さて、かくして描かれた小説はいかなるものになるのか。
そのほか、読めども読めどもワケの分からない理論の説明が延々と続く小説を、自称「理系」の主人公が意地になってひたすら読む「超理系殺人事件」、ボケてしまったミステリー作家とその担当者の苦労を描いた「超高齢化社会殺人事件」、小説のあらすじ・書評を自動的に書いてくれる機械「ショヒョックス」とそれに翻弄される小説関係者たちの姿を描いた「超読書機械殺人事件」など。
いずれも、読後に「ほ~」とうなってしまうこと必至な、笑える短編ばかりだった。
さすが東野圭吾。
なお、「超税金対策殺人事件」は、世にも奇妙な物語2003年の春の特別編で映像化。
「世にも~」で見て好きな話しだったので、原作と出会えて嬉しくなった。
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中島らものエッセイ【書評一覧】 > 僕にはわからない
作品名: 僕にはわからない 作家名: 中島らも ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 中島らものその他のエッセイ |
エッセイスト中島らもはさまざまな顔をもっている。
基本的にはバカ話の好きなおじさん。そしてときとしてロマンチスト、ときとしてキザでもある。
これらは絶妙なバランスで共存し、中島らものエッセイを中島らものエッセイたらしめている。
しかしなにより中島らもの大きな特徴は、日本屈指の進学校、灘中学に上から9番の成績で入学したというその頭のキレのよさにあると思う。
これは勉強ができる云々ということではない。実際中島らもは高校に進学後「落ちこぼれ」たというが、そんなことはどうでもいいのだ。
博識で、難しい事柄や抽象概念を明快に理解し、そしてそれらの知識をきちんと整理して提示する能力がある。
そういう「頭のよさ」こそ中島らもの特徴の一つなのだ。
しばしば「ペダンティック」と批判されることもあるようだが、しかしそれこそが中島らもの大きな魅力だと思う。
さて、この『僕にはわからない』だが、そのタイトルとは裏腹に、中島らもの「ペダンティック」な部分が堪能できる。
というのも、「わからない」話しがテーマになっているものだから、内容がやや難しめなのだ。
例えば「死」について、「知」について、「真理」について、など。
これらはジョルジュ・バタイユの「連続と不連続」という概念や、ユングの「集合的無意識」といった言葉が用いられながら語られている。
本当にこの博識さにはただただ舌を巻くばかり。
そのほか、「ケニアの呪術師」が興味深かった。
ケニアに『ガダラの豚』のための取材にいった際の様子が描かれている。
現地では実際に呪術師と会うことができたらしいのだけど、帰国後しばらくするとその呪術師からスワヒリ語で書かれた長文のエアメールが届いたという。
呪術師から長文のエアメール…ただならぬ予感を感じさせるではないか。
さてさてその手紙の気になる内容は。
ところでこの記事を書いてみて気づいたのだけど、この一冊は弱冠ファン向けな内容だったかもしれない。
僕は好きだから楽しく読めたけど、かなり難しめの内容なので、導入がこれだったら抵抗があったかも分からん。
そして中島らもの面白さをを知らずに「け、ペダンティックなクソ豚野郎」などと評価を下されるのはあまりにも悔しい。
そんなわけで、中島らもが気になる人は、先に『中島らものたまらん人々』や『明るい悩み相談室』などを読んで、まず中島らもを好きになってから挑戦してみてほしい。
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