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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 今夜、すべてのバーで
作家名: 中島らも
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
ス:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
中島らものその他の小説 
【書評・あらすじ】
 小説家、中島らもの代表作。
 アル中で死にかけて入院した際の自身の経験を元にして書かれた作品。
 病院という「普通の人より”死にやすい”人間ばっかり集まっ」た場所に、死にかけの状態ではいってきて、日に日に回復していく主人公の体。一方で他の患者たちに訪れる不条理なまでの死。
 中島らもは『アマニタ・パンセリナ』の中で「酩酊について書くことは、死と生について語ることと同義である」といっていたけど、この作品に描かれているのはまさしくアルコールを媒介とした「死」と「生」だった。

 と書くとお堅い作品に思われるかもしれないけど、さにあらず。
 作品に終始横たわるのはユーモアなのだ。
 事故に驚いて部屋を走り回る”歩けないはずの”老人、同じフロアに死人が出るかを賭けあう患者たち、医者に隠れてメチルアルコールを飲むアル中。
 たしかにそこには人がいて、ときとして辛らつなほどの「笑い」がある。
「ギリギリまで苦痛に苛まれているとき、人を救うのはユーモアである」
 そんな中島らものイズムを思わせる作品だった。

 4、5年前に一度読んでいたのだが、今回再読して幾度となく感嘆の声を漏らした。
 とんでもなく面白い。
 とにかくキザで、だけど嫌味がなくて、テーマは重いのに読み口はライトで、そしていいバランスで可笑しい。
 吉川英治文学賞は伊達じゃない。ほんと。

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作品名: ニャ夢ウェイ
作家名: 松尾スズキ、河井克夫、松尾妻子
ジャンル: ネコマンガ

笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★
ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆★★★
松尾スズキその他のジャンルの本
【書評・あらすじ】
 松尾スズキの原稿を元に河井克夫が描いた猫マンガ。松尾家に拾われてきた猫のオロチと松尾(元)夫婦の様子がコミカルに描かれている。
 巻末には、作中では嫁で今は元嫁の松尾妻子が10ページほどのエッセイを寄せている。オロチが拾われてきた経緯などマンガに描かれているできごとの詳細はもとより、後半は離婚後に書かれたものなので、みなさんが気になっていた松尾スズキ夫婦の離婚の(※このブログを「松尾スズキ 離婚」で検索してくる人が結構いるのです)経緯もほのめかされている。マンガ内しかり、巻末のエッセイしかりで思ったんだけど、松尾スズキだけでなく妻子さん自体かなり変人で面白い人っぽい。また、エッセイと合わせて顔写真も載っているので(マンガとそっくりの美形!)、どんな人か気になる人は要チェック。

 ところで、このブログは自分でいうのもなんだけど、わりかし硬派に一般書籍の紹介に努めてきたつもりだ。一般書籍というのは、例えば老成ぶった奴らが「最近の若いもんはいっちょん本を読まん」と憂いて自己陶酔しているような部類の、そこで語られる「本」のことだ。
 僕は平気でこういうことをいう奴が大嫌いなので、このブログはいってしまえばそんな奴らに中指を突き立てるためにやっているようなところがある。
 奴らの言葉こそが「若いもん」から本の楽しみを奪っている。なぜなら「宿題はしたの?」という母親の小言に喜んで応じる若者などいないからだ。
 そんなわけでこのブログでは「いっちょん読まん」といわれる「本」がいかに刺激的で面白いか、馬鹿で笑えるか、という観点からアプローチしている。必要なのは押し付けではなくきっかけだ。

 しかしこの『ニャ夢ウェイ』。マンガであるゆえ、上記の「本」に当たるかとても微妙なところ。
 もちろんマンガが良い悪いの話ではなくて、単純にこのブログのスタイルの問題だ。
 ただし、テーマが猫というのが僕にはどうしても捨て置けない。
 自分の信条を曲げてでも、ぜひともここで紹介しなければならないと思うのだ。
 なぜならば、僕は大の猫好きニャのだ。
 うちにも4匹の馬鹿猫を飼っているのだニャ。
 かわゆいニャンコたちだニャ。
 しかも作者が、あの笑いの奇才松尾スズキニャのだ。
 これは捨て置けニャいニャ。
 松尾スズキニャンでニャンコだもんニャ。
 必要ニャのは押し付けではニャくきっかけだニャー。

 町田康の『猫にかまけて』、中島らもの『とらちゃん的日常』と合わせて読みたい猫本だニャ。

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