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清水義範の小説【書評一覧】 > 人生うろうろ
墓の購入、就職活動、マイホーム購入、結婚、初孫、転職など、生きてりゃ誰でも一度は経験するようなよくある、だけど個人にとっては決して些細ではないできごとが描かれた短編集。
金や見栄に振り回されて右往左往する人たちの姿は、やはり見ていて滑稽だ。
だけど当の本人はそのことについて真剣に悩んだり喜んだり怒ったりしている。
そしてよく考えてみると、いずれも読んでいる読者も他人事としてのほほんと笑ってばかりはいられないことだったりもする。
そんな「普通」をみつけてきては小説にしてしまうのが清水義範の面白いところだと思う。
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作品名: Waiting for Godot 作家名: Samuel Beckett ジャンル: 洋書・脚本 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆★★★★★★★ ス:☆☆★★★★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ この他の笑える洋書 |
『ゴドーを待ちながら』という邦題でその名を知られるモダニズム演劇。
モダニズム演劇ってイコール「単にわけがかわらない」というイメージがあったので敬遠していたのだけど、思っていたよりは面白かった。
登場人物は主にウラジミルとエストラゴンの2人。
物語はその2人がひたすら「ゴドー」がくるのを待つ、ただそれだけ。
途中ポッツォとラッキーという脇役も登場するにはするが、彼らが出てきたからといって物語りに進展はない。
ただただ、ゴドーという何者かが訪れるのをじいっと待つだけ。
とまあ物語の筋は大変退屈なんだけど(なんせ登場人物たち自身が作中で退屈しているのだ!おっどろいたね)、登場人物全員が「道化」そのもので、繰り出されるナンセンスな会話の節々がいちいち可笑しい。
ウラジミルとエストラゴンは、いつやってくるとも知れない(そしておそらく永遠にこないであろう)ゴドーがくるまでのあき時間を、くだらない遊びや会話をしてなんとかやり過ごす。
観客は(そして読者は)その暇つぶしにつき合わされるのだ。
とにかくすべてに意味がない。なんせテーマは「無」("Nothing")だから。
ただしその虚無に深刻さなんてのはない。
道化によって演じられる軽妙な虚無なのだ。
蛇足ながら、これが2次大戦後間もない1948年に書かれたという事実は念頭においといてもいいかもしれない。
モダニズム文学でいえば、T. S. Eliotという偉大な、そして悪名高くもある詩人がいて、このEliotが若かりし日に書いた詩に"The Love Song of J. Alfred Prufrock"というのがある。
これはどういう作品かというと、語り手の若くも老いてもいない男(やせっぽっちで頭がハゲかかっている)が、気になる女に会いに行くかどうか、よし行こうか、いやでも勇気を出したところで女の取り巻きに「ま、ハゲだわ」なんてバカにされるだけだったりして、なんてことをひたすら悩み続ける、ただそれだけのもの。
これを詩にしちゃうかね。しかも"The Love Song"なんてタイトルで。
Wating for GodotのテーストはEliotの"The Love Song~"にかなり近かった。
道化が演じる軽妙な虚無。
あたしモダンを感じたわ。
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