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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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笑える本を読もう! > オードリーのその他の本【書評一覧】 > オードリーの悪いようにはしませんよ。

作品名: オードリーの悪いようにはしませんよ。
作家名: オードリー
ジャンル: トーク集

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆★★★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
オードリーのその他の本
【名言・みどころ
春日さんを相方に選んだ一番の理由は、”言うことを全部聞いてくれそうだった”っていうところですからね。 面白さでいったら、春日さんは地元の友達10人中9位ですよ。

【書評・あらすじ】
 内容を云々いう前に、まず最初に書いておきたい。この本かってぇ!
 いや、内容の話ではなく、物理的に固いの。とにかく、固い。ねっころがって読もうとしても上手くページを開けないくらい固い。開けてもその状態を維持できないくらい固い。
 何考えてんの?こんなかてえ紙使って。何の利点があんの?筋トレ?

 雑誌「TVぴあ」で現在も連載されている、オードリー若林と春日のトーク集。M-1をきっかけにブレークした2008年から2011年までの掲載分を集めたもの。
 本の形式としては爆笑問題の著書と同じように、「太田 こいつは玉無しですからね」「田中 うるせえよ!」みたいなスタイルで2人の発言が記されていく。
 ただし、実は爆笑問題の著書はすべて太田が一人で書いているのに対し、本書『悪いようにはしませんよ。』は本当に2人でトークした内容を文字に起こしているようだ。
 そのため、爆笑問題の本が漫才のネタとして完成しているのに対し、本書は基本的に2人の若者の悪ふざけを文字に起こしたようなものになっている。
 特に最初の頃は売れ始めの頃なので、若林に「地元の友達10人中9位」と称される春日のキャラクターが前面におされていて、読んでいてくどい感がある。今でこそオードリーで本当にヤバくて面白いのは実は若林であることがコンセンサスを得ていると思うけど、売れ始めの頃は春日のキャラクターでウケてたからねえ。
 本の構成としては、発言のあとにつけられる「(笑)」、それから頻繁に用いられるフォントいじりが興ざめだった。笑ってるかどうか、どこで笑うかはこっちで判断するから。
 と、こういうわけでいまいち僕にははまらない本だった。同時期に書かれている若林のエッセイは、最初から最後まで若林のイジイジした感じが出ててかなり好きだったんだけど。

 しかし中学時代から仲がよくて組んだコンビだけあって、コンビの過去が語られるあたりはこの本の収穫だと思う。
 2人が通った男子校のこと、意外とガツガツしてた若林、実は春日はプロデューサーになりたかったこと、春日だけではなく実は2人とも風呂なしの家に住んでいたことなど。
 特に、2人が勤めていたバイト先の店長が、ダメ人間春日とコンビを組む若林を心配し、若林に対して「こんなヤツとコンビ組んでる場合じゃねぇぞ!」と説教した話が特に印象に残る。最後は結局みんな泣きながら「3人でがんばっていこうな」と落ち着いたらしい。
 結構青春しているエピソードだなあと思うけど、回想して「アレなんだったんだろうな(笑)」とコメントする若林もなかなかのダメ人間。しかしやはり「(笑)」はいらないと思う。

 気軽に読むのに適した内容。ただし紙は激固。
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作品名: そのノブはひとりの扉
作家名: 劇団ひとり
ジャンル: エッセイ

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆★★★
劇団ひとりの他のエッセイ 
【名言・みどころ】
今になって思い出せば、子供というのは実に変わり者が多い。大人になるにつれ、社会に適応するために角が取れて丸くなっていくが、それに比べて子供は尖りまくっている。

【書評・あらすじ】
 劇団ひとりの自伝。一番古い記憶である3歳ごろの記憶から、自らが父親となった「今」までの劇団ひとりの半生を振り返る。
 小学2年から5年までを過ごしたアラスカでのできごと(なお、父親がパイロットで同じくパイロットの父を持つフィギアの村主章枝が同級生だったと以前テレビで見たが、そのことは本書では触れられていない)。アラスカの勉強が簡単すぎて、帰国後日本のハイレベルな勉強にまったくついていけなかったこと。
 中学校でビーバップハイスクールに影響され「不良に憧れる不良風」になったものの、放送委員として毎日放課後の全校放送でカノンをBGMに自信作のポエムを朗読していたこと。
 学ランの不良服に憧れ工業高校に進学したのに、その高校での違反服の取り締まりが凄くかったため衝動的に退学してしまったこと。そしてその場の衝動で退学したのに、なぜか両親が別の高校のパンフレットをすでに準備していたこと。
 アルバイトをしながら夜間学校に通い、「元気がでるテレビ」の素人コーナーをきっかけに、16歳からお笑い芸人を志したこと。
 太田プロでのオーディションや若手時代のまともな仕事がなかった日々(ちなみに同期は猿岩石だった)。
 子どもが生まれる際、お湯を入れてのびてゆく「ラ王」と妻の陣痛のはざまでゆれたこと。
 そんなテレビで時々垣間見える劇団ひとりの半生が、時系列を追って語られてゆく。

 ところで、つい先日書いた記事で、劇団ひとりは「『劇場型』ともいうべき自意識の持ち主」だと書いたけど、本書もまさにそんなエピソードであふれていた。
 たとえば初恋の話。
 中学生のころ、劇団ひとりには長年思いを寄せてきた「Hさん」という初恋の相手がいた。しかし自意識がすぎてシャイボーイな省吾少年はうまくHさんに接することができず、思い切って誕生日プレゼントのオルゴールを買っても、それを鳴らしながら玄関先に置いて逃げるというもはや「殺人予告」としか思えない渡し方しかできないほどだった。
 しかしそんな省吾少年もなんとか自分の思いをHさんに伝えたいとは思っていた。そこでこんな作戦に出る。
 少年はHさんを思いながら何度もHさんの似顔絵を書いているうちに、いつしかHさんとはっきりわかるほどうまく描くことができるようになっていた。そしてある日から、省吾少年はそのうまく描けた似顔絵をいつもカバンに入れるようにしたという。
 そうすることでカバンを開けばいつでも好きなHさんの顔を見ることができる…というのは建前で、実際はクラスメイトの誰かにその絵が見つかり「あー、川島こいつのこと好きなんだ」と騒ぎ立てられ、観念したように仕方なく「まぁ、そういうこと。ずっと、好きだったんだ」という展開になることを狙っていたのだ。
 つまり脚本を用意して、自らの意思ではなく事故を装った形での愛の告白、というドラマを想定していたわけだ。10代にして、いやむしろ10代だからこそだろうけど、なんという「劇場型」の自意識だろうか。

 しかし実は本書を読みながら、僕はすごく尻のあたりがむずむずするような思いがしていた。10代のころの劇団ひとりのこういうところが、実はすごく自分の10代の頃と似ていたからだ。上のエピソードと似たようなことは多くの10代男子がやったんではないかと思うけど(ですよね?)、特に衝撃的に僕の10代のころと似ていたのが「サスペンスドラマ」の章だ。

 劇団ひとりが中学2年のころは今のようにインターネットで気軽にエロが手に入る時代ではなかった。
 そこで省吾少年は毎日学校からまっすぐ家に帰り、夕方3時から再放送しているサスペンスドラマの再放送を欠かさず見て、ドラマの濡れ場だけを狙ってビデオに録画していたという。つまりサスペンスドラマのエロ場面だけで構成されたオリジナルのエロビデオを作成していたわけだ。
 しかし録画したあとに簡単に編集できるような時代ではなかったため、エロシーンだけを録画するためにはドラマの「複雑な人間関係、物語の起承転結、殺人の動機、すべてを冷静に見ながら物語を予測する」ことが必要だった。濡れ場がどのあたりでくるか、もっといえばこのドラマに濡れ場があるかを判断することが必要なのだ。また、この作業を続けているうちにそれ以降はドラマのクライマックスに入ってゆくため「濡れ場は1時間20分以降にはまず登場しない」という、ドラマの理論なども分かってくる。
 実はこれ、10代のころの僕もまったく同じことやっていた。「1時間20分以降~」理論にも同様に行き着いていた。同じことをしていた人がいたと知り、たいそう驚いたものだ。
 アダルトビデオやエロ本の入手が困難だった年齢、時代において、テレビに映るおっぱいは本当に貴重なものだった。そして劇団ひとりと僕はその瞬間を永遠に残すために輝かしい青春の時間を費やしたのだ。股間を握りながら。
 
 ドラマの構成のされ方や観察眼がはぐくまれたことを思えば、ここで得たものが今の劇団ひとりの基礎を築いているのはまず間違いないだろう。その意味では、エロはやはり偉大なのである。
 そういうわけで今宵も私はエロサイトを巡ることにいたします。探さないでください。
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