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爆笑問題のその他の本【書評一覧】 > こんな世界に誰がした-爆笑問題の日本原論(4)
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「日本原論」シリーズ第4弾。
相変わらずの軽妙な漫才形式で時代を斬る。
内容の時期としては2002年~2003年ごろで、北朝鮮の拉致問題とか、SARS、パナウェーブ研究所(白装束の集団が電波電波って言ってた事件ね)、スーパーフリーなどの時代に当たる。
っていうか2003年ってもう7年も前のことなのか。
特に当時の一番大きな事件は、アメリカのイラク侵略、っともとい、イラク戦争開戦だ。
この「笑えない」状況下、コメディアンとして笑っていないといけない境遇を、太田は「あとがき」でこう語っている。
イラク戦争や、北朝鮮の問題で、笑おうとすることは、正直疲れる。我々はいつまで笑い続けなければいけないのだろうと思うと、途方もないような気がする。
今もあの頃もこれからも、いつの時代も暗い。
「こんな世界に誰がした」と誰かが言っている。
そんな無責任な言葉に、爆笑問題はすかさずツッコミを入れる。
「こんな世界に誰がした」と誰かが言っている。
そんな無責任な言葉に、爆笑問題はすかさずツッコミを入れる。
「お前だよ!」
2002年から2003年の時代を振り返りながら楽しみたい人に。PR
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作品名: Winnie‐the‐Pooh 作家名: A. A. Milne ジャンル: 洋書・小説 笑:☆☆☆☆☆★★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆★★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆★★★★★ この他の笑える洋書 |
プーの生みの親、A.A.ミルンは第一次大戦に志願兵として参戦している。
それも最たる激戦地と称されるソンムの戦いに送られており、さらにそこでもっとも悲惨だとされる塹壕戦に参加している。塹壕戦とは、戦場中に兵士が隠れるための溝を張り巡らせ、兵士たちはそこにねずみのように潜んで、自分のところに爆弾が飛んでこないことを祈るばかりの戦いだったという。
プーのあの満ち足りた世界観から考えると、この作家のバックグラウンドはとても意外な気がする。
ミルンは1913年にドロシーと結婚する。
しかし翌年には大戦が勃発、翌1915年には自ら志願して従軍している。
そしてそこで上述のように塹壕戦を経験するのだけど、戦場からは無事生還する。
そして終戦後間もなくドロシーとの間に一人息子が生まれる。
その息子の名はクリストファー・ロビン・ミルンという。
プーの物語は実はクリストファーの就寝時に彼を主人公にして聞かせたストーリーテリングが元で、そもそもはこの一人息子クリストファーと妻ドロシーの人形遊びから生まれたものなのだそうだ。つまりプーはミルンの一人息子の子ども部屋から生まれたのであり、家族がいなければプーは生まれなかったのだ。
息子クリストファーはテディベアが大のお気に入りだった。どうも1歳年下の弟だと思っていたらしい。そしておそらく子ども部屋には、子ブタやロバ、ウサギ、カンガルー、新参者のトラなどの人形もあったんだろう。
ところでこの『Winnie-the-Pooh』が出版されたのは1926年。大戦の終結から10年も経っていない。
それなのにこのプーが暮らす100エーカーの森の満ちたりた感じはなんなのか。
そういえば100エーカーの森には2つの特徴がある。それをヒントにこの疑問は解明できるかもしれない。
1つは現実の世界から隔離されていること。
100エーカーの森と我々が暮らす世界にはどこにも接点がない(クリストファー・ロビンの子ども部屋はつながってるんだっけ?)。そのため作品中ティガーの登場のシーンでは、どこからともなくポンとティガーが現れたことになっている。まるで子ども部屋に新しい人形が放り込まれたように。
そしてもう1つの特徴は、大人が一人も出てこないということ。
森の住人は問題が起きると、森の中で一番賢いとされるクリストファー・ロビン(おそらく5~6歳)に相談にゆく。他の住人たちは彼よりも知能指数が低いとされる。つまりクリストファーがこの100エーカーの森では一番の「大人」なのだ。
このようなプーの舞台100エーカーの森について考えると、むしろミルンの戦争体験が逆説的に表れているような気がする。
というのも、この100エーカーの森というのは、穴にもぐって死をひたすら待つような大戦とそれを引き起こした大人が暮らす現実=ディストピアから隔離された、ミルンのユートピアのように見えるからだ。
つまりこの時代に、同時代の作家たちがこぞって描いた陰鬱な影が一切描かれないということこそ、かえってミルンの戦争体験の悲惨さを物語っているようにも考えられる。
プーが本作で歌う詩の「I could spend a happy morning, being Pooh」(僕は幸せな朝を迎えることができたんだ、プーであることで)という一節はそう考えるといっそう深みが増す。
さて、ウンチクはここまでにして、笑える本としての感想。
なるほど序盤は子ども向けの本といった感じの内容だった。
ディズニーでお馴染みの有名な、ラビットの穴にはまったプーさんをみんなで引っ張る話も序盤に含まれている。この話はけっこうよくて、穴にはまったプーの「北端」(north end)に向かってクリストファー・ロビンが本を読み、「南端」(south end)をラビットが物干しに使うところは名場面。まあしかし大まかに言って、前半はクスリとおかしい、って感じかな。
しかしこの本の後半になるにつれ徐々に笑える具合が増してくる。
恐らく書きながらミルンが乗ってきたのだ。
始めは息子を喜ばせようと児童小説を書いていたつもりが、途中から書くことに目覚めちゃったって感じだろうか。
特に最後の3話、「In Which Cristopher Robin Leads an Expotition to the North Pole」(クリストファーロビンが北極「たぬけん」を率いる)、「In Which Piglet is Entirely Surrounded by Water」(ピグレットが水に囲まれ孤立する)、「In Which Cristopher Robin Gives Pooh a Party, and We Say Good-Bye」(クリストファーロビンがプーにパーティを開いてあげて、そしてしばしのさようなら)がよかった。
※邦題は管理人による。内容と原題を混ぜた感じ。
そもそもブリティッシュユーモアは辛らつさを前提としている。けっこうびっくりしちゃうくらいに辛口のジョークが持ち味だったりする。
その辺この本は序盤がいかにも児童向け小説らしい。しかし後半から徐々にブリティッシュユーモアの辛口テーストが漂い始める。そのあたりからが本格的に面白くなってくる。
そしてこの『Winnie-thePooh』を書き終えたそのノリノリの状態で、シリーズ2冊目の『The House at Pooh Corner』が書かれているっぽい。
つまり『The Corner~~』のほうが大人好みの辛口の笑いが多いってことね。
英語の本としてはこの講談社の版だったら最後に簡単な単語の注もついているのでおススメ。
楽しく英語を読んでみたいならこのシリーズは大いにありですよ。
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