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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: ダイナマイト・ツアーズ
作家名: 原宏一
ジャンル: 長編小説

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
原宏一その他の小説 
【書評・あらすじ】
 テキトーに生きてきた雅也と、同じくテキトーに生きてきた真由美。二人はテキトーに出会ってテキトーに結婚し、そしてテキトーに新婚旅行でアメリカに出かけた。
 するとそこに雅也の父の訃報が届く。しかしテキトーな二人のこと、これで父の遺産が転がり込んできて人生楽勝やん、とのんきにかまえていた。
 が、葬儀のため急いで帰国した二人に、実は雅也の父が大きな借金をかかえていたことが知らされる。
 さらにその夜、雅也は借金の貸付人から土地を更地にして明け渡すように脅される。
 かくして追い詰められた雅也は土地の確保のために一つの手段に出る。
 家の爆破だ。
 ずいぶん思い切ったものだが、とにかくこうしてこの爆破屋夫婦の物語りは始まるのだ。

 アメリカの地で追い求める夢がビルの爆破。
 物語の設定は一見アホのようだが、ダメな二人が爆破屋の仕事に夢中になってゆく姿は、そのままダメ人間の成長物語となっている。
 また、アメリカで師事する爆破職人ボブと二人の関係はまるで新しい家族のようで、家族愛を描いた人情味溢れる話としても楽しめる。
 そういえば短編集『床下仙人』にも新しい家族の形を描いたいい話があったっけ。原宏一はそういうのが得意な人なのかな。

 原宏一は最近『床下仙人』を読んで以来気に入って読んでいる。
 どの本も爆笑という感じではないんだけど、妙な小説を書く人で面白い。

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作品名: 寝言サイズの断末魔
作家名: 松尾スズキ
ジャンル: エッセイ・絵日記

笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆★★★★★
ス:☆☆☆☆★★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆☆★★
松尾スズキその他のエッセイ
【書評・あらすじ】
 久々に松尾スズキ。 やはり今、笑いを書かせたら松尾スズキがダントツだと改めて思った。
 なんかいろんな意味で、ギリギリ。というか倫理的な意味で、ギリギリ。
 もうほんと、すんでのところで、ギリギリ。

 2001年から2002年までに「週刊SPA!」で連載していたエッセイ(絵日記?)をまとめたもの。
「三原じゅんことコアラを下北沢で目撃。」
 という一文からこの本は始まるのだが、その後、ボクが数えた限り、驚いたことに同じ文章がこの本の中で5回は登場する。
 わずか一年というこの短い期間の間に、三原じゅんこ・コアラ(元)夫妻を5回も目撃するあたり、すでに何か松尾スズキの松尾スズキらしさがにじみ出ているというか、その後の2人の未来をスズキが運命付けたんじゃないかというほど、よくわからんがなんとなく松尾らしいエピソードなのだ。

 その他、終電の網棚で熟睡するレディと遭遇したり、見知らぬおじいさんに「おかあさん」と話かけられたり、「わたしの具合が悪くなったのはですね…略…ご飯を作るのに二時間かかっちゃうから主人もね、職人気質だから言葉が荒くなって。ほんと死ぬことばっかり考えちゃうんです」整骨院の受付で切々と相談するおばさんと出くわしたり。
 このギリギリ感。
 このギリギリアウトな感じ。
 松尾スズキらしくて好きだなあ。

 なお、このエッセイ(日記?)連載中はまだ、元嫁の松尾妻子さんとは夫婦で、ときどき妻子さんも話に出てくる。
「今、オキメグと中谷美紀ちゃんと山口沙也加ちゃんと四人でリンボーダンスやってるの」と真夜中に電話してくる、寝言で「全身全霊で行きます!」と叫ぶ、などかなりエキセントリックな人格をうかがい知ることができた。
 なんかそれはそれでいい夫婦っぽいんだけど、残念ねえ(松尾妻子さんとはその後離婚。松尾スズキは離婚の理由について「あまりにも忙しすぎた」と語ったというが、たしかにこの本を読む限り、忙しすぎたんだね)。

 解説は奥田英朗。
 なぜ!?と一瞬おどろいたが、よく考えたら両者は『イン・ザ・プール』の原作者と映画の主演という関係ありありの二人だった。

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