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奥田英朗の小説【書評一覧】 > 真夜中のマーチ
どうでもいいことだけど、ブックオフで950円分の買い物券が当たってしまった。やはり僕はブックオフの神に好かれている。
いっとくが僕は基本的にブックオフの100円コーナーでしか本を買わないのだす。
そこにきて950円といったら、駄菓子屋に紙幣をもって行くようなものなのだす。
そこで、いつもはうまい棒しか買わないのに、ここぞとばかりにビックカツを購入、友達から羨望のまなざしを向けられる、みたいなマネをしてしまった。
つまり、300円から350円で売られている、普段ではゼッタイに買わない金額の、つまりは需要の高い売れ筋の本を3冊も買ってやったのだ。俺はやったぞ!ついにやったぞ!!
という経緯で、以前からずぅっと気になっていた奥田・アタシはずれ作品書きません・英朗の『真夜中のマーチ』をようやく買うことができた。で、先に言っておく。この本は買い。
自称実業家にして実はただのチンピラ、ヨコケン。
三田財別の傘下にある三田物産に勤務する三田総一郎。御曹司、と思いきやただ偶然苗字が同じだっただけのダメ社員。通称ミタゾウ。
そして2人が成り行きでヤクザの金を盗みに行った先で現れる、孤高の美女、クロチェ。
この3人が手を組んで、闇の世界で動く10億円略奪を目指す。
他の記事でも書いたけど、仲間が増える系の話ってのは例外なく面白い。
例えばマンガでいうと、「ワンピース」「スラムダンク」「H2」なんかを思い浮かべるといい。
最初は主人公一人だったところに、航海士とかポイントガードとかセカンドなんかが集まってきて、主人公の躍進に大きく力を与える。
たとえばそんな面白さがこの小説にはあった。
ヨコケンもミタゾウもクロチェも、もともとはそれぞれに一人で動いていた。
そんな彼らがあるとき出会い、1つのチームになることで、それぞれの能力が生きてくる。
そして3つの個性が絡み合ったとき、10億円奪取へと物語が大きく転がり始める。
始めはこれといって結びつきのないキャラクターたちに、次第に仲間意識が芽生え始めるあたりとかたまらなくいい。「仲間が増える系の話」には欠かせない、とても魅力的なシーンだと思う。
そんな人間ドラマをふまえつつのクライム・ノベル。
総ページ数328ページ。読み応えたっぷりだす。
映像化したら面白いだろうなと思ったらとっくにされてた。 クロチェ役は香椎由宇。む、イメージどおりの適役。あるいは栗山千明もありかと思ったけど。 |
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東野圭吾の小説【書評一覧】 > 探偵ガリレオ
いまさら僕が紹介するまでもなく、超人気作家東野圭吾の超人気シリーズ第1作だ。
福山でドラマ化され大ブーム。本も売れまくり、はいった印税は往年のマイケルジャクソンに匹敵するといわれている。いや、それは知らない。
ところで僕はドラマを見なかったし、いまごろようやく本を読んだんだけど、読みながらどうも福山じゃないよなあと思っていた。主人公湯川についてだ。湯川はもっとひょうひょうとしたキャラクターの人が合うんじゃないかと思っていたのだ。すると後に、このキャラクターは実際に別の人をイメージして書かれたことが明らかになった。詳しくはのちほど。
笑える本としては、ところどころにクスリと可笑しい部分もある、といった程度だった。よって笑える度は低めに。やはり「面白さ」のほうが先行していた。
この本の面白いのは、なんといっても謎を解くのが物理学者という点だ。
この一冊には1章完結で5つのミステリーが収録されていたが、いずれも一見怪奇現象にしか見えない謎が、物理学によって科学的に解き明かされる。
さすが東野圭吾。府立大の工学部を出ただけあって、これは他の作家にはなかなか真似できないことだ。
また主人公湯川の人物像も「実に興味深い」。
ひょうひょうとしてるが興味があることにだけはぐっと迫る。無関心なのかと思ったらどこかでヒントを得、とっくに謎を解明している。子ども嫌いでいつもインスタントコーヒーを飲んでいる。そんな変人湯川が不思議ととても魅力的に描かれている。
ところで先に少し述べたが、主人公の湯川学にモデルがいたことをご存知だろうか。まあモデルとはいっても、探偵としてのモデルではなく、人物としてのモデルなんだけど。
本書の解説にはこう書かれている。
「何を隠そう、東野さんは、僕をイメージして『探偵ガリレオ』の主人公である天才物理学者・湯川学を書いた」
そう語るのは、東野圭吾が偶然見た映画の中で探偵役を演じていたという、俳優の佐野史郎、その人である。
なるほど、佐野史郎ならイメージどおりだ。
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