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三浦しをんのエッセイ【書評一覧】 > しをんのしおり
妄想姉さん三浦しをんの初期エッセイ集。2001年にウェブマガジンに掲載されていたものを加筆訂正して一冊にまとめたもの。小泉政権のどうのが話題に上ったりして、なつかC。
ところで三浦しをんのエッセイにして初めて、照れずにレジに持っていくことができた。どうもこれまで読んだエッセイの傾向によると、三浦しをんのエッセイには諸事情によりレジに非常に持っていきづらい本が何冊もあるのだ。※詳しくはリンク先でどうぞ。
ところでこのエッセイ集は三浦しをんの作家人生の中のかなり初期に書かれたはずなのだが(というのも本書の中で書かれているが、なんと当時はまだ古本屋でバイトをしているのだ。今をときめく直木賞作家、あの三浦しをんが)、感心したというかあきれたというか、この人はずーーーーーっと同じようなことを考えているらしい。
同じようなことというのはその、つまり、男同士の友情物語にボーイズラブを見出して妄想にふけり一人ではふはふする、漫画について熱弁をふるう、バクチクを追っかけるetc。
最近に書かれた(といってもどれも最近なんだけど)あんたのエッセイでも、まったく同じ生活を覗き見たぞ、しをんさんよ。とにかくこのブレなさはすごい。こだわりの妄想姉さんだ。
笑えるエッセイとしては、新しく書かれた本(すでにこのブログで紹介済みの3冊)のほうがおススメだった。ほんと、表紙のビジュアル的には男の読者泣かせなところはあるけど、笑える具合が着実に進化している。
ただし、この本だと表紙も普通のためレジに胸を張って持っていける上、カッフェでお洒落な自分を演出できるので、女の子にモテモテになるためにはこのエッセイのほうが向いているかもしれない。※詳しくはリンク先で。
ま、とにかく、三浦しをんのエッセイはいろんな意味で安定感あるっすわ。
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ゲッツ板谷のエッセイ【書評一覧】 > 直感サバンナ
ゲッツ板谷の本の解説が松尾スズキ。
バナナの皮をむいたらバナナの中身が出てきた、みたいな。まずそうな定食屋でボンカレーが出てきた、みたいな。中国人じゃないかと疑っていた彼氏の家に遊びに行ったらコタツで毛沢東がお茶漬け食べてた、みたいな。そんな「やっぱり」感だ。
松尾スズキ自身が解説でこういっている。「出会いたいとか出会いたくないに拘らず、出会わないのが不思議なくらい私たちは、乱暴な言い方だが『近い!』」。
暴走族やヤクザ予備軍として10代を過ごしたゲッツ板谷、一方で文科系街道を突っ走ってきた松尾スズキ。その二人の生い立ちは見た目の違いに露骨に表れているのだけど、にも関わらず、たしかに二人の笑いに対するスタンスは近い。
このエッセイは「パチンコ必勝ガイド」にて、テーマ・長さともに自由という「野放し状態」で連載されていたものを集めたものだそうだ。おかげで本に一貫性はない。
が、基本的にゲッツ板谷の身辺を固める変人たち、『板谷バカ三代』でもお馴染みのケンちゃんとセージら身内の変人、浪人時代からの友人西原理恵子、毎年女装姿の自分の写真をプリントした年賀状を送ってくる編集長など、そこはかとなく変人についての話題が中心だった。
特に、車内で四方を変人によって固められてしまって以来電車嫌いになった話は、なかなか壮絶でよかった。「んい~~~っ。次はドンドリュー岬~~ッ、次はドンドリュー岬~~ッ。よしっ、むすっ、なんっ」延々独り言を言っている隣の男、傘の柄を自分にかけてきた上に「この男は!許さないからね!」と憤怒した逆隣のババア、そして正面ではOLが…。
不条理でよろしい。そういうところに、整骨院でうつ病告白するおばさんとうっかり遭遇してしまう松尾スズキのおかしさと同じ香りがする。
力技の笑えるエッセイ。困ったときはゲッツ板谷ね。
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