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宮藤官九郎のエッセイ【書評一覧】 > ボクはワインが飲めない
作品名: ボクはワインが飲めない 作家名: 宮藤官九郎 ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆★★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 宮藤官九郎のその他のエッセイ |
雑誌「TV LIFE」に連載されていたコラムをまとめた単行本『私の体からワインが出てくるの』(川島なお美をネタにしたタイトルだが、単行本化の際本人と一緒にワインセラーに行っているあたりがほほえましい)と『おぬしの体からワインが出て来るが良かろう』の2冊をさらにまとめて文庫化したもの。
すべてのコラムに連載当時を振り返るインタビューが付され、巻末には文庫本書下ろしの漫画「ボクはワインが飲めない」(宮藤官九郎原作、しりあがり寿画)が掲載。総ページ数400のボリューミーな一冊。
雑誌に連載されていた時期は2000年8月~2004年ごろ。
初回ではドラマ『IWGP(池袋ウェストゲートパーク)』の打ち上げのことが書かれている。そして徐々に『木更津キャッツアイ』のドラマとか映画のことが語られたり、バンドグループ魂でライブをやったこととか、ドラマに出演したり監督までやったり「情熱大陸」出たり、というように、クドカンがちょうど超人気脚本家・タレントになってゆくころとちょうど連載時期が重なっている。「笑う犬」のコントなども書いていたようだ。
感じとしては師匠の松尾スズキの『スズキが覗いた芸能界』と『寝言サイズの断末魔』に近い。
なにかについてじっくりと考えを述べるというよりも、ドタバタと過ぎる日々のことを綴っているうちに、奇しくも本人の一時代を記録したエッセイ集になっていたって感じ。クドカンが超人気脚本家になってゆくさまを現在進行形で綴ってゆく自伝のような内容になっている。
なお、宮藤官九郎の略称は一般に「クドカン」で浸透しているけど、本人的には「くんく」がいいのだそうだ。奥さんが考えたんだと。
え、クドカン結婚しとったんかい。
そして文庫化の際追加された漫画「ボクはワインが飲めない」では子どものことが書かれていたり。
え、クドカン子どもおったんかい。
そんななんか意外な一面を覗かせつつ、肩にまったく力の入っていない、ちゃちゃっと書いたぜ、風のエッセイ。
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宮藤官九郎のその他の本【書評一覧】 > 木更津キャッツアイ 日本シリーズ
作品名: 木更津キャッツアイ 日本シリーズ 作家名: 宮藤官九郎 ジャンル: 脚本 笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 宮藤官九郎その他の本 |
クドカンの代表的ドラマ「木更津キャッツアイ」の映画版の脚本。
クドカンの本、当ブログ初紹介にしてこの微妙な入り方。せめてキャッツアイ本編(※後日読みました、ニャー)からいこうぜ!
しかしね、僕的に乗るか反るかみたいなところがあったんですよ。だからせめてシリーズ中一番短い一冊から入ろうという意図で「日本シリーズ」から読むことにしたんです。
いや、キャッツアイが面白いのは知ってたよ。ドラマ見てたしね。クドカンも好きだし。
ただ、この「脚本」というスタイルが自分にはまるかどうか、微妙なとこだなと思っていたのね。
シェイクスピアなんか読んでるといつも思うんですよ。俺は今、本来の楽しみ方をしていないぞ、ってね。
本来芝居として意図して書かれたものを本として読むってのは、たとえいくらよく書かれていたとしても、やっぱり結局舞台には勝てないわけですよね。もともとそういう風に書かれていないわけだから。
本格志向の僕としてはね。
っていや、うそ。今かっこつけた。しかもインタビュー風にかっこつけた。わりにかっこよくもなかった。
ようは、
ロダリーゴ 「どこであおう?」
イアーゴー 「おれの宿舎がいい。」
ロダリーゴ 「朝はやくいくぜ。」
みたいな文章がすっと頭に入ってこないのだ。本来なら「どこであおう?」「俺の宿舎がいい」「朝はやくいくぜ」という単なる会話なのに、いちいち頭の「ロダリーゴ」「イアーゴー」まで丁寧に読んでしまってすんなりいかない。地の文のある文章に慣れているから、すんなり読めないのだ。
それで、なるほどこれはロダリーゴが言っていてこっちはイアーゴー、それはいいんだけどさ、じゃあさっき出てきたオフィーリアはどこに行ったの?え?オセローには出てこない?うそん?みたいなことになってしまうのだ。
しかし結果として「木更津キャッツアイ」はよかった。一度ドラマ&映画を見ていたから「ぶっさん」と書いてあればぶっさんの顔がすっと浮かぶし、映像もすんなりイメージが浮かぶ。モー子と書いてあれば、酒井若菜の顔だって浮かぶ。浮かぶどころか、もはやモー子なのか、若菜なのか、若菜なのかモー子なのか大木なのか俺なのか…。
そんなわけで、ドラマなり映画なりを一度でも見ていたらイメージしやすいので楽しみやすいと思う。
いちおうあらすじ。
時は紙幣が新札に変わる直前の2003年。余命半年を宣告された主人公ぶっさんは「こっから先はカッコつけねえで、素直にドキドキしながら死にてえ」と、バンドに恋にと精力的に生きている。そして相変わらずの木更津キャッツアイや町のメンバーたち。
しかしそこに死んだはずの町のアイドル的浮浪者、オジーが漂着して物語りは転がり始める。
韓国パブに氣志団、偽札事件と怪獣ゴミンゴ。
シーン割の短さが驚異的で面白い。とんでもないテンポで繰り広げられるてんこ盛りのストーリー。
ドラマとしてかなり手が込んだ作品だと思う。巻き戻しの手法とか、本で見ても斬新。面白いわけだ。
モー子を演じる酒井若菜が信じられないほどかわいい。それだけでも一見の価値がある。あんまり出てこないけど。ここ数年来の願望なのだが、僕は生まれ変わったら酒井若菜みたいな女子大生になりたい。一日でいいから。 |
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