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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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笑える本を読もう! > 大槻ケンヂの小説【書評一覧】 > ゴシック&ロリータ幻想劇場

作品名: ゴシック&ロリータ幻想劇場
作家名: 大槻ケンヂ
ジャンル: ショートショート

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★
ス:☆☆☆☆★★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
大槻ケンヂその他の小説 
【書評・あらすじ】
 久々に大槻ケンヂの小説を読んだ。
 実はこのブログで紹介していないだけで、『グミ・チョコレート・パイン』以外にも何冊か読んではいるのだ。『ステーシーズ』とか『新興宗教オモイデ教』とか。
 ただ大槻ケンヂの基本的なフェチズムというのが、「いたいけな少女(17歳、処女)に訪れる不条理な死と流血」みたいなところにあるの。ちょっとわかりづらいかもしれないけど、ほんとうにそうなの。
 可憐さとグロテスクさの合わさったところにツボがあるみたいで、僕、筋肉少女帯時代からのファンなんだけど、というか10代のころは半ば「信者」だったんだけど、それでもこの手のは小説としてついていけないところがあるのだ。

 それで今回は『ゴシック&ロリータ幻想劇場』なのだ。
 もうすでにタイトルが「いたいけな少女(17歳、処女)に訪れる不条理な死と流血」してるじゃないか。
 どう考えてもまんま「いたいけな少女(17歳、処女)に訪れる不条理な死と流血」じゃないか。
 逆に「いたいけな少女(17歳、処女)に訪れる不条理な死と流血」らなかったらがっかりだよ。
 と思いつつも、よりによってブックオフ100円コーナーで見つけてしまったので、これはもうしょうがない。
 あまり乗り気じゃないけど、ブックオフの神の采配にあらがってはならないもの。

 ところが予想に反して、そのブックオフの神の采配はなかなかにして憎いものだった。
 序盤に収録された「妖精対弓道部」あたりはまさに「いたいけな少女(以下略)」といった感じだった。シュールでグロテスクでUFOで。やれやれ、この調子であと18話か…
 と思っていたら第3話の「メリー・クリスマス薔薇香」から様相ががらり変わる。すげえ良い。笑えて、しかも泣けるのだ。鳥肌ものの名作揃いという嬉しい誤算に嬉しくなった。
 以下収録小説から何話かあらすじ。

メリー・クリスマス薔薇香
 ゴスロリファッション大好きな主人公。ママとショッピングに行ったら、突然ママが同じ服を着ると言い出した。38歳にしてゴスロリに目覚める母。しかもふいにロリネームを尋ねられたら「薔薇香」とよどみなく答えるあたり、何か奇妙だ。ロリ母はマジで勘弁してほしいんだけど、しかしまたなぜ急に?

ギター泥棒
 彼氏の克也は、ヘタクソなアイメイクが実家で飼っている猫の「トラメ」に似ていたことから、少女にトラメというあだ名をつけた。克也が車に轢かれて死んだ日、トラメは宝物にしていたギターを克也に届けるために、通夜の会場からギターを盗み出して、後追い自殺を試みる。しかし飛び降りようと崖に行ったところを、なぜかハゲ頭に巨大なたんこぶをこしらえたおっさんに取り押さえられてしまう。

ユーシューカンの桜子さん
 靖国神社の遊就館(戦没者の遺品、武器などが展示されている)に妹の桜子がついてきた。ゴスロリ姿でひとりの少年の遺影を真剣に見つめる桜子。とりつかれたように見入る桜子。というか桜子、マジで取り憑かれてないか?!

ほか17話。
 ゴスロリファッション誌に連載された掌編小説集で、ゴスロリファッションにちなんだ20話の掌編が収録されている。
 やはりオーケンらしく、UFO、心霊現象、そして「いたいけ(以下略)」な話しが多かったが、予想に反して本当に良かった。ユーモアと感動が融合した名作が多く、また、オチですとんと落ちるショートショートとしても完成度が高い。
 これまでグミチョコを覗くと初期の小説しか読んでなかったので、オーケンの小説をスルーし続けてしてしまっていた。不覚だ。この人小説家としても進化してたんだ。
 ミュージシャンとしてだけでなく、小説家大槻ケンヂの評価急上昇。他の作品をもっと読んでみたい。

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作品名: 勝負の極意
作家名: 浅田次郎
ジャンル: エッセイ

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆★★★★★
ス:☆☆☆☆☆★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
浅田次郎その他のエッセイ
【書評・あらすじ】
 浅田次郎初期のエッセイ。
 自らが作家になるまでの苦労を語った「私はこうして作家になった」と、競馬に関するエッセイ「私は競馬で飯を食ってきた」をまとめて一冊にしたもの。
 前者は作家になるための指南、後半は競馬で負けないための指南。総じて「勝負の極意」を語った内容になっている。

 前半の「私はこうして作家になった」は、昔JT主催の講演会で話した原稿をもとに加筆訂正を加えたもの。もともと講演会の原稿なので、語り口調はですます調。
 幼少期から初志貫徹で作家になることを夢見続けてきた浅田次郎。しかし作家デビューは39歳と遅咲きだった。
 進学校に通い、三島由紀夫の死を探求しに自衛隊に入隊し、除隊後は裏社会と密接にかかわりながらアパレル関係の会社を経営した。そしてそんな傍らに常に執筆活動があった自らの人生を「二足のわらじ」と銘打って語っている。
 60ページほどの簡単な自伝と思えばよいか。
 それにしても、この人の人生を見ていると、たとえ何歳でも人生どう転がってゆくかわからないことがよくわかる。

 後半の「私は競馬で飯を食ってきた」はタイトルどおり競馬に関するもの。
 25%のテラ銭を始めから大本のJRAががめるというどう考えても勝てるわけがない博打、競馬。しかし実は浅田次郎はその競馬で30年間飯を食ってきたという奇跡の勝負師だった。
 運の見極めやパドックの見方など、競馬で負け越さないための極意を専門的かつ事細かに、かつ素人でも楽しく読めるように記してある。
 競馬をしない僕でも十分にたのしめる。が、いかんせん馬や騎手がネタに出てきたりするので、競馬を知ってたらさぞあつくて面白かったにちげぇねえ。
 ちなみに小説と競馬誌でのあまりの違いに、浅田次郎は2人いる、小説は妻が書いているなどの噂があったのだとか。

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