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浅田次郎の小説【書評一覧】 > 歩兵の本領
自衛隊という謎多き奇妙な組織について、ジャーナリズムではなく、想像でもなく、アイロニーと親愛の念を込めて物語を書くことができる人が、浅田次郎以外にいるだろうか。
いるわけねーだろ。
と唐突な自問自答から始まる今回。笑本!管理人、絶好調で怒涛の日々です。ごきげんよう。
18から20歳といった普通なら呆けて過ごす時期を「三島の死の真相」を求めて自衛隊で過ごした浅田次郎。
そんな自身の経験を元に書かれた作品群がこの『歩兵の本領』だ。
学生たちがピースマークをつけてヒッピーを気取るか、ゲバ棒をかついで学生運動に励んだ時代。しかしなにを気取っても、彼らには高度経済成長のさなか、引く手あまたの就職先があった。
そんな時代に「地連」の口車に乗せられたか、そうせざるを得ない事情を抱えていたかして自衛隊に集まってきた若者たち。
自衛隊という閉ざされたシステムの中で営まれる、人間臭い生活。そこには密な上下関係があって、友情があって、「娑婆」に残してきた人を焦がれる思いがある。
そんな自衛隊の中での若者たちの青春が、浅田次郎自身の経験に基づいて、ユーモラスで感動的に描かれている。
ところで、これらの作品は1997年から2000年にかけて連載されていたようだ。
浅田次郎が書いていた最中は、これらの短編を書き終えた直後、まさか自衛隊が軍隊としての帰路に立たされることになるなんて思ってもみなかっただろうな。
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中島らものエッセイ【書評一覧】 > その日の天使
とうとう手に入れちまいました。
たしかこの本の存在を知ったのは今年の夏。
俺の知らない中島らもの本がある…。
見つけたときは本屋でしばらく固まるほど動揺したものです。
価格が1600円。普段はブックオフの100円コーナーでしか本を買わない僕だけど、この値段は中島らもにならギリ出しても惜しくない金額なのだ。
それでその場で買ってしまおうかと思ったけど、その金額に思い当たる節があって、そのときは今しばらく我慢することにした。
というのも、そのときamazonでの本の紹介料が1500円に達そうとしており、近いうちにamazonからその金額分のポイントがもらえることになっていたのだ。
そうつまり、このブログでの本の紹介料がとうとう1500円に達したのです!!ひゃっほう!
てなわけで、皆様のおかげさまで、とうとう僕は敬愛する中島らもの本を、本当は1600円も払わなければならないところ、ほとんど無料で手に入れることができました。宝物にします。
さて、『その日の天使』のご紹介。
今年(2010年の6月)発売されたばかりのエッセイ集。タイトルの「その日の天使」は『恋は底ぢから』に収録された名エッセイより取られている。いいセンスしている。編集者はよく分かっているよ。
中島らもの膨大なエッセイの中から「人生」に関するものを集めてある。見つけた当初は一連の遺稿集の一つなのかと思っていたけど、どうもそうではなくて、「人生のエッセイ」というシリーズの一環として中島らもが取り上げられた形のようだ。
内容は、「チビの女神さまへ」「その日の天使」「サヨナラにサヨナラ」「わが葬儀」などきちんと押さえるとこ押さえたセレクトがされており、ファンもひとまず納得。さらに嬉しいことに雑誌に掲載されたのみの書籍未収録エッセイも多数収録されている。
ある程度ファンもうなずける内容のセレクトがしてあって、なおかつ未収録のエッセイも収録されているためファンも嬉しい。この感じ、何かに似ているなと思ったら、CDの「ベストアルバム」を聞いたときに似ている。いろんなアルバムから有名な曲、いい曲がセレクトしてあって、そのベストアルバムをきっかけにそのアーティストにはまってゆくということもよくあるのでは。
特に多産だった中島らもの場合、エッセイが膨大な量になるので、その中からいいとこどりしてくれているこの一冊は中島らも初心者の導入にちょうどいいと思う。なおかつ未収録のエッセイも多数収められているので、ファンもファンで楽しめる。
帯に「中島らも ベスト・セレクション」と銘打たれているけど、これはファンとしてOKサインを出しておきます。
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