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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 何をかいわんや
作家名: ナンシー関
ジャンル: エッセイ

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
ナンシー関その他のエッセイ
【名言・みどころ】
私は18歳で高校を卒業するまでを地方で過ごした。地方といっても、埼玉県や茨城県だとかいった、のほほんとしたところではない。青森県である。思い切りがいい。

【書評・あらすじ】
 先日ナンシー2世、ことマツコ・デラックスのコラムを読んだら、つい本物が読みたくなった。われながら分かりやすい性格である。
 本書はナンシー関急逝後、方々に書き散らかされていた未出のコラムをまとめて出版されたもののようだ。そのためネタの時代も出典もバラバラで、一番古くは「ALL」なる雑誌の1987年の記事で、ジャイアンツの原(当時選手)の「原くん」という呼称について。一番新しいので2001年「ジス イズ 満 吹越」という舞台のチラシで、吹越満の顔のつくりについてであった。

 普段のナンシーのコラムは基本的にどれを読んでも「TV・有名人評」、金太郎飴のようなものなのだが、本書は遺稿集的な意味合いのためか、珍しくその呪縛から開放されていた。
 1~3章はいつもどおり、芸能人やその顔の造型、CMについての内容だった。中でも歌詞に関する比較がいくつかはさまれたのは珍しかったが、やはりテレビ関係のネタはこのように時が経ってしまうとリアルタイムで読むようには楽しめない嫌いがある。
 4章「雑誌オゾンホール」では少し趣向が変わって「雑誌評」。「小説すばる」なる雑誌で京極夏彦がアイドル扱いされている、なんてネタ(95年)はなかなか時代を感じで趣き深い。  

 しかし5章「暮らしの天気図」はいつもの感じとはかなり趣が違った。というのもこの章では、自分自身についてや世の不思議について書かれたネタが集められているのだ。 なんでも18歳まで青森で過ごして予備校に通うために上京し、1年間上石神井に住んだとのことだが、このようにナンシー関が自身の過去について著書の中で語ることは珍しい。
 また、「人はいつからお中元を贈るようになるのか」という項では、オヤジの「コスプレ」としてお中元を贈り始め、最初はプレイ(ごっこ遊び)だったのがいつの間にか日常化するのではないかという指摘があったが、生活評においてもさすがナンシーの観察眼である。

 しかしもの珍しさはあったものの、結局「いつもの感じ」のほうがおもしろくはあったかなあ。
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作品名: 七人の恋人
作家名: 宮藤官九郎
ジャンル: コント脚本
笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆☆★★
宮藤官九郎のドラマ脚本とか
【名言・みどころ】
と、日替わりで面白すぎないフリートーク。
その間に三宅は、紙袋からプロテクターとかベルトとか武器とかを取り出して、あーでもないこーでもないと付けたり外したりして、最終的にユンケルを飲んで、最悪のタイミングで、
三宅 「ほとんど三宅マン!」

【書評・あらすじ】

 宮藤官九郎による舞台脚本。 2005年に東京と大阪で公演された舞台らしく、阿部サダヲ、三宅弘城、小路勇介、星野源(ライフ出演中、シングル「SUN」がヒット)、尾美としのり(あまちゃんのパパ役)、田辺誠一、宮藤官九郎ら7名の俳優によって演じられたもののようだ。なおその舞台は物語というものはなく、7本のコントによって構成されている。

 なんだかんだクドカンも「大人計画」の一員なわけで、本業の舞台となるとやはり大人計画っぽいシュールさは出てしまっている。いずれのコントもストーリーらしいストーリーはなく、ギャグをやるための物語といったものだった。そのため評価として一般ウケはあまりしないかなといった感じだが、笑える度は久々に高めに。
 さて、上述したとおり、本書には7本のコント脚本が掲載されているわけだけど、笑える本的には「ほとんど×三宅マン」がよかった。

ほとんど×三宅マン
 明日提出の夏休みの宿題が終わらず、番町に呼び出され、母親にエロ画像を見られたテツロウ(阿部サダヲ)は三宅マンに助けを求める。しかし三宅マンは正しくは「ほとんど三宅マン」であり、「要するに5%だけヒーロー的な要素が混じった三宅弘城なわけ!」なのであった。
 かくしてテツロウ君をなに1つ救えないほとんど三宅マンは、その代わりに隣町の本屋へテツロウのためにエロ本を買いに行くことになる。しかしその先で待ち受ける本屋の店主は鬼畜性獣ゲヒンスペイシーなのであった。
 はたしてほとんど三宅マンは5%のヒーローっぽさを出すことができるのか!?
 ほとんどがんばれ、三宅マン!ほとんど負けるな、三宅マン!

 と、このようにこの脚本にストーリー性はほとんどないことがよくわかってもらえただろう。本書で一番まし…もとい、よかったと思われる「ほとんど×三宅マン」でさえこの調子なのだ。

 しかしさすがクドカン、ギャグはかなりよかった。
 特にト書き(脚本に記される演者への指示文)が秀逸。
 例えばほとんど三宅マンの変身シーンで、時間がかかる三宅マンの変身をつなぐため、ト書きは三宅に『フリートークでつないでください』と阿部サダヲへ向けてカンペを出すよう指示する。
 それを受け、テツロウには「ハイっ!ということでここは下北沢なんですけど昔はこのへんは田んぼだったらしいですね」なんて台詞が当てられているのだけど、この台詞は話題の出だしが書かれているだけなのだ。
 そして脚本はこの記事の冒頭「名言・みどころ」に引用した箇所につながる。
 脚本のト書きで「面白すぎないフリートーク」という指示も笑本的にかなり危険だけど、この脚本受け取った阿部サダヲ焦っただろうなとか、ライブではどんな面白すぎないフリートークをしたんかな、など想像するだけでもニヤニヤしてしまう。

 わざわざ舞台を本で読むのだから、舞台で楽しめる台詞だけでなく、このようにト書きを楽しむのも一興かと思う。

追記:なお、2015年7月現在であればyoutubeで舞台が確認できる。
ほとんど三宅マン01 / ほとんど三宅マン02 / ほとんど三宅マン03
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