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伊坂幸太郎の小説【書評一覧】 > 陽気なギャングの日常と襲撃
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作品名: 陽気なギャングの日常と襲撃 作家名: 伊坂幸太郎 ジャンル: 長編小説 笑:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆☆☆★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 伊坂幸太郎その他の小説 |
みなさんあけましておめでとうございます。って更新日も表示していないし季節感のまったくないブログですが、2012年新年早々1日深夜の更新です。 今ここを見ているあなたがどのくらい未来にここを見ているのかわからないので、今年も来年も再来年も、末永くよろしく。
さて書評。
『陽気なギャングが地球を回す』の続編というか、番外編というか、小説。
前作を読んだのがずいぶん前になるからどんな手ごたえで読んだのかすっかり忘れちゃったけど、とにかく今作はストーリーもいい上、笑える本的にも名作だった。
冷静沈着、人の嘘を見抜く男、成瀬。
弁を振るわせたら右に出るものなし、口から生まれた男、響野。
肩さえ触れればいかなる相手からも掏りを働く、掏りの天才、久遠。
絶対時間感覚の持ち主、雪子。
ストーリーはタイトルどおり、『地球を回す』でおなじみの4人の強盗たちの「日常」から始まる。
まあ「日常」とはいえ、押し駆け強盗や事故の隠蔽など、日常が日常じゃないんだけど、とにかくすでに前作で描かれた銀行強盗とは別の場面での4人のストーリーが描かれるのだ。
そしてそれらの「日常」から物語が派生して、銀行強盗、さらには誘拐事件の解決へと物語が展開していくことになる。
各登場人物の「日常」など小話も多いのだが、大筋としては、誘拐事件がメインとなっている。
成瀬の職場の後輩の恋人が誘拐されてしまう。
その奪還のためにいつもの4人が動き始めるのだが、いざその誘拐犯を突き止めてみると、どうも間抜けで憎めない。なんなら人質になっていた彼女まで同情して協力的になってしまっている。
そんな誘拐事件で済んでしまえばいいのだが、この誘拐事件の裏では、別の不穏な空気が流れていた…。
あとがきによるともともとこの小説は、連載当初は強盗の4人それぞれにおきる事件やハプニングを描く短編集にするはずだったのだそうだ。
しかし輿が乗ってしまい、それらの短編を一連の物語に組み込んで、ひとつの長編小説を作り上げてしまったのだという。
伊坂幸太郎の十八番というか、相変わらず登場人物たちのユーモラスで軽快なやりとりが大変笑える。この気の利き具合についてはもうここではうだうだいわないから、「名言集」を参照していただきたい。
またストーリーも夢中になって読んでしまうようなテンポのよい展開で、文庫にして400ページの大作だけど、さくっと読んでしまった。
前作よりはまった。
抜群に面白い。
ただ前作は先に読んでおいたほうがはまる気もする。
そんなわけで、未読の方は『陽気なギャングが地球を回す』から読みましょう。
なお、文庫版巻末には本当に番外編、「海には、逃したのと同じだけのよい肴がいる。」が収録されている。
これは響野の妻、祥子さんが主人公の短編。
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みうらじゅんのエッセイ【書評一覧】 > 親孝行プレイ
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作品名: 親孝行プレイ 作家名: みうらじゅん ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆★★★★★ 楽:☆☆☆☆☆★★★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ みうらじゅんのその他のエッセイ |
久々の更新です。ひと月以上更新する暇を与えてもらえませんでした。ここ数ヶ月で土日休めた日が何日あったかなと片手でカウント。
でもまあ忙しいと小さなことにクヨクヨする暇もないのでメンタル的にはいいのかもね。たぶんホントはくよくよしなきゃいけないことをいろいろやっちゃってるんだけど、忙しいとへっちゃら。
さてさて、みうらじゅんの『親孝行プレイ』について。ひっさびさの更新だい。
「心が伴ってからでは親孝行も手遅れになることがある」
そんなテーマから親孝行をある種の<プレイ>とみなし、自称<親コーラー>のみうらじゅんがこのプレイを心行くまで楽しむための指南を語る。
そこでは旅行、帰省、妻活用法、孫活用法、父親孝行、寿司屋活用法、友活用法など、親孝行のために役立つ道具、手段などが指南される。
旅行では両親と自分の家族の部屋を分け「ホテトル嬢プレイ」(自分だけ両親の部屋に出張)をせよ、妻に小銭をつかませて両親の前で「殿様プレイ」をせよ、すし屋では父親と大将二人から説教されよ、など親コーラーを目指すなら役立つ知識がいっぱい詰め込んである。
また、「母親はいつまでも息子の恋人」、息子の結婚は「最愛の人を愛人にくれてやった」、「『親友』とは『親』の『友』と書く」(ので両親と親友は気が合う)など、深くうなづける目からうろこの発想がポンポン飛び出してくる。
まあなんというか、みうらじゅんは照れ屋なのだ。
本当は素直に親孝行したいというか、すでに親孝行しているのだけど、それに<プレイ>というエクスキューズをつけないとならない。でそのエクスキューズが誰に対するものかというと、それは他でもない自分自身だったりするのだけど、なんかそういう自意識と素直さの狭間に揺れる自分をはからずしも描いてしまったのがこのエッセイ集だと思う。
エッセイ本編はさほど笑える感じではなく、なるほどねーといった感じなのだけど、最後の最後で声を出して笑ってしまった。もはや悶絶して笑ってしまった。
不良になりたかった思春期のみうらじゅんに対してオカンがとった行動が爆弾だったわけだけど、僕が身もだえして笑ったのはやはり自分にも近い思い出があるからで、やっぱり母親にはかなわんということなのだと思う。
「母親はいつまでも息子の恋人」
なるほどねえ。
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