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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: タイガー&ドラゴン
作家名: 宮藤官九郎
ジャンル: 脚本

笑:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
楽:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ス:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
危:☆☆☆☆☆☆☆☆☆★
宮藤官九郎その他の脚本
【書評・あらすじ】
 宮藤官九郎の人気ドラマ「タイガー&ドラゴン」の脚本。
 これはもうね、きました。久々に大ヒット。

 まずはあらすじ。
 ヤクザの虎児(長瀬智也)は幼い頃に両親が自殺して以来、知らず知らずに笑うことを忘れていた。そして、身より無くいたとろを拾われた中谷組でヤクザをしていた。
 ところが、落語家林家亭どん兵衛の借金取立てに行った際、どん兵衛の高座を見て落語の魅力に魅了されてしまう。
 そして強引にどん兵衛に弟子入りし、師匠に授業料を払いながらその授業料をその場で取り立てることとなる。かくしてどん兵衛と虎児の奇妙な師弟関係が始まる。
 一方でどん兵衛には竜二(岡田准一)という名の息子がいた。
 かつては落語の天才と称され、2代目どん兵衛の名を継ぐのは確実とされた男だった。しかし今はわけあって落語を捨て、裏原宿でドラゴンソーダという超絶ダサイ服屋を営んでいる。
 落語に魅了されどんどんのめりこんでいく虎児と、かつて落語に愛されながらも落語を捨てた竜二。
 虎と竜でタイガー&ドラゴン。
 林家亭一門、不思議な女メグミ、ドラゴンソーダのバイトリサ、虎司の舎弟銀次郎など多くの仲間を巻き込んだり巻き込まれたりしながら、落語を愛した男とかつて落語に愛された男の人生が動き始める。

「ヤクザ」と「落語」。
 いかにも<日本臭い>テーマを選びながらも、まったく古くささがない。
 どんなテーマでも、クドカンの笑いはやはり<新しい>と感じさせるものがある。
 例えば竜二が謎の女メグミ(伊東三咲)を口説いて自分の部屋に連れて行こうとするシーン。

メグミ、大きな建物を見上げて。
メグミ 「すごーい、いいところ住んでるんだね」
竜二 「ごめん、それスウェーデン大使館」

 ここで「スウェーデン大使館」を選べるクドカンの感性。うまく説明できないけど、このチョイスが絶妙なのだ。
 そしてこの後、竜二の部屋というのが、実は友人チビTの家の押入れの上段だということが判明する。もはや笑いの波状攻撃だ。

 また、そんな笑いの波状攻撃の中胸を打つ言葉を入れてくるところがこの作品の魅力的なところ。
「ウゼエんだよ、やりてえと思ってる事、他人からやれって言われんの、すげえウゼエんだよ」
 正直僕はこの言葉に泣いた。漠然となんか嫌だなーと思っていたあの感覚をこんなに端的に表現するなんて。
 他にもいくつか宮藤官九郎の名言集に載せているのでチェキ。

 クドカンの脚本で、特に売れたドラマシリーズは一通り読んだつもりなんだけど、この「タイガー&ドラゴン」がダントツだった。
 テレビで見たときははっきりと『池袋ウェストゲートパーク』が一番面白かった。
 長瀬と窪塚の「死ぬなよ」「…死にますん」「どっちだよ!」のやり取りには本当に悶絶した。
 しかし本で読んだ場合、IWGPはさほど笑えなかった。当然のことながら映像のために書かれているわけで、映像で見て初めて面白いのがIWGPだったわけだ。
 しかし一方で、「タイガー&ドラゴン」は本として最高に面白かった。
 読み物として完成していて、<読み物>としても十分に耐えうる作品なのだと思う。

 なお、巻末には上下巻ともに、作中で虎児が噺す新作落語の元ネタ、原作の古典落語が掲載されている。これが上下巻合わせて200ページもある。
 古典落語については好きな人には嬉しいんだろうけど、僕はひとまず読み飛ばしました。興味が湧いたらその内に。

文庫版の下巻はコチラ。僕もamazonで1冊買ったので、在庫が減ってるぞ!いる人は急げ!また読後はDVDで楽しもう!
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作品名: 俺だって子供だ!
作家名: 宮藤官九郎
ジャンル: エッセイ

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆★★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆★★★★★
宮藤官九郎のその他のエッセイ
【書評・あらすじ】
 2005年。
「子供に翻弄されるのが嫌い」との理由で子ども嫌いを自認する宮藤官九郎に、子どもができた。
「子供ができたら『子供がいない夫婦』には二度と戻れない」
 その事実に戦慄するクドカンは、
「怖いので育児日記を書かせてください」
 怖さを紛らわし、すべてをネタにするために文春に駆け込んだ。
「奥さんのお腹が昨日より大きく見えます、助けてくださいっ!」
 そんな叫び声とともにこのエッセイの連載は始まった。

 エッセイはクドカン夫婦に娘の<かんぱ>が生まれる直前から始まる。
 誕生時の喧騒、生まれたばかりにして部長のふてぶてしさのわが子、病院から我が家へ、初めてのお風呂、ウンコ等々。
 序盤はネタにしながらも、ある種淡々と育児の様子が描かれていく。
 しかしあるとき、とうとうクドカンの感情は決壊する。
「リビングからかんぱの声が聞こえると、つい見に行ってしまう」
「岸田國士戯曲賞受賞後1作目。プレッシャーが無いとは言わないが、そんなことよりかんぱの寝返りです」
「やった!かんぱのオムツがSからMになりました」
「こんにちはが『こんちゃ』、バイバイは『ぱっぱい』、地井武男は『ちっち』。どうだ!カワイイだろ!」
 そう、親ばかのダムが完全に決壊してしまうのだ。

 これから後、文庫本にしておよそ400ページはただの親ばか。ひたすらに親ばカンクローだ。
 初めての離乳食、初めての病気、初めてのはいはい。
 そんなかんぱの<初めて>を、親ばカンクローがひたすら親ばか目線で綴る。
 生まれる前のビビリはなんだったのか。まあ、親ってそういうもんなんでしょうね。

 そんなわけで、かんぱの誕生から3歳までの間連載された、クドカンの育児と親としての成長を綴った育児日記エッセイ。
 文庫本の巻末には、単行本化の際の特典として3歳のかんぱとの対談と、文庫化の際の5歳のかんぱとの対談が掲載されている。

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