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みうらじゅんのエッセイ【書評一覧】 > とんまつりJAPAN
作品名: とんまつりJAPAN 作家名: みうらじゅん ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆★★★★★★ ス:☆☆☆☆★★★★★★ 危:☆☆☆☆☆★★★★★ みうらじゅんのその他のエッセイ |
「奇祭」と不気味な呼び方もあるが、オレはあえてその抱きしめたくなるようなプリティさを“とんま”と表現し、とんまな祭り、ちぢめて『とんまつり』と命名したのである。
【書評・あらすじ】
みうらじゅんのエッセイは、はまるものははまるけど、はまらないものはとことんはまらない。個人的には『青春ノイローゼ』のような自分語りはわりと好きなのだけど、一方で仏像をテーマに一冊書かれてしまったような「こんな世界に興味持てるオレって」的なエッセイが結構あって、僕は苦手だったりする。その手のエッセイは「『こんな世界に興味持てるオレって』的みうらじゅんが好きなオレって」的な読者でなければ楽しみがたいように思う。
さて、今回の『とんまつりJAPAN』はまさに後者だった。例えば白塗りの男が「笑え!笑え!」と叫びながら闊歩する「笑い祭り」、舞台で夫婦の営みを表現したうえで、使用済みの紙を観客席にばらまく「おんだ祭り」など、地方の奇祭を見つけては現地に赴き、「こんな視点を持ってるオレって」的な視線でその祭りに参加する。1・2章程度であれば…なのだが、これが一冊となるとなかなかのボリューム感(精神的に)である。奇祭かみうらか、どちらかをよっぽど好きじゃないとなかなかつらい。 エッセイのスタイルとして「自分語り」のほうがその人の精神にどっぷり浸かるイメージだったけど、みうらじゅんの場合は、自分語りは初心者向け、この手の「みうらイズム」が色濃く表れているものはみうらフリーク向けなのかもしれない。
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ナンシー関のエッセイ【書評一覧】 > 秘宝耳
テレビ(メディア)の中では、周囲から「偉い」と言われている人が偉く見える。偉い人として扱われていなければ、その人は偉く見えない。芸能人としてのポジショニングは、いろんな番組での共演者との関係性の見せ方の積み重ねでできあがっていくといえる。
【書評・あらすじ】
ナンシー関が急逝した2002年に出版されたテレビコラム集。もう何度もこのブログで言ってきたが、ナンシー関の本はどれを取っても一定の可笑しさと面白さを与えてくれる。内容もほとんどぶれることなく、テレビ・芸能人評だ。
違いがあるとすれば、その本がいつ書かれたのか、という点であるが、何分ワイドショー等の時事ネタが中心となることが多いため、実はその違い大きい。90年代前半の話題となると懐かしさを超えてまったく記憶にないので、個人的には現在に少しでも近いことが好ましいと思う。その意味では、2002年に出版されたこの本はおすすめの一冊ということになる。
さて、この記事を書いている2017年夏、最近の話題として印象深いのはSMAPの解散、そして中居・木村以外のジャニーズ脱退だ。SMAPがいなくなったとたん、タッキーや堂本剛など一時期(ここ10年ほど)テレビで見かけなかった人たちが一斉にリバイバルを果たした。まさに「SMAP枠が開いた」としかいいようがない、奇妙な現象を我々は見ている。
そんなことはどうでもいいのだ。SMAPでいうと、特にここ数年香取の闇の部分が隠し切れなくなっていることに世間はざわついていた。ほんの10年前までSMAP一番の元気印という印象だったが、ここ数年はうつが服着て歩いているような状態だった。
このコラムの中に、そんな香取を主役とした章がある。なんでもSMAP×SMAPの「ビストロSMAP」でゲストが森光子だったときのことだそうだが、どういう経緯か知らないが香取が森光子にキスをする運びになったのだという。
森光子にキス。それは明らかにご褒美ではない。かといって東山の彼女という点で嫌な顔もできない。そんな視聴者も含め、森以外に誰にも得のない状況の中、出口のない海に閉じ込められた香取はキスを敢行した上で、「俺の人生はばたいてるぜ!」と叫んだという。光景が目に浮かぶようだ。
そんな香取を見て、ナンシー関は言う。
何か、この時の香取慎吾は「芸能」というもののある一面のいろんな澱とか灰汁みたいなものを全部背負い込んでいたのかもしれないと思った。おそらく彼女には、芸能界の海のよどみに沈んでゆく香取の姿が見えたのだろう。ナンシーのこの指摘は、その後の香取の運命を暗示しているように思えてならないのだ。
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