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ゲッツ板谷のエッセイ【書評一覧】 > 戦力外ポーク
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30越してもヤンキー武勇伝。わけえのがいきがって、かつてやくざ予備軍と恐れられたこの俺様にからんできやがったから、イカレた暴走機関車の弟といっしょにちょっとやっちゃいましたよ。
そんな趣のエピソードが散見される一冊。
主人公がめちゃ強い元不良、という点では『GTO』とかを見たあとのようなカタルシスが得られるような気がしなくはないけど、それにしても年甲斐もない。
ゲッツ板谷には変人、キチ○イが集まってくるらしい。もっともキチ○イ濃度が濃厚なのは彼の身内なんだったりするんだけど。
ただそんなキチ○イと思しき人が吐く名言というのはときおりとてもすばらしいもので、たとえば本書では以下のようなやりとりが残されている。
親戚のケーコというおばさん。思ったことを何でもそのまま激しく口にするため、ゲッツからは「直舌」と呼ばれている。そんな直舌ケーコとゲッツとのやりとり。
「コーちゃんて、豚キムチみたいだけど優しいね……。このままホテル行こ、何でも好きなことしてあげるから」
「いや、いいからっ。そんなことより何かあったろ?言ってみ、聞いてやるから……」
そんなゲッツの優しさに対して件のケーコが名言を吐くのだ。
「で、そのあとでフェラチオを要求してくるわけか、ひと昔前のソビエトのように」
すごい、の一言。
松尾スズキを彷彿とさせる言語感覚だ。もちろんキチ○イ的な意味で。
そのほか、妹が子どもを産んだ病院の食堂で出されているカレーピラフが異常にうまく、妹が退院した後も未だにそこにピラフを食いにいっているんだけど、どうも最近そこの店員からひそかに自分が「ピラフ水牛」と呼ばれていることに気づいてしまった話(「死に床グルメ」)がわりと好きだった。
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松崎洋の小説【書評一覧】 > 走れ!T校バスケット部
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中学時代に関東大会2位の成績を収めた陽一。スポーツ特待生として鳴り物入りで都内の強豪H校へ進学した。
そしてこの強豪校にあっても陽一の実力は徐々に認められ、レギュラーを勝ち得ようとしていた。
しかしそんな陽一の躍進を快く思わない同期部員や、単に面白半分の部員たちによって陽一はいじめを受けることになる。そしてそのいじめを機に陽一はバスケと同時にH校を辞め、都立T高校に転校する。
いじめとバスケが連想され、大好きだったはずのバスケを嫌いになり始めていた陽一は、バスケを二度としないことを誓った。
一方陽一の転校先のT高校にもバスケ部があった。とはいえ顧問はど素人の英語のおばちゃん先生、メンバーもバスケが趣味程度の晩年初戦負けの素人弱小集団だ。
奇しくも陽一が転校したクラスには、この弱小バスケ部の主要メンバー、チビ、メガネ、俊介の3人がいた。
新たなクラスメイトの彼らに誘われ仕方なしにバスケ部の練習を覗きにいった陽一は、そこでやはり自分がバスケがすきなのだと確信する。そしてT校バスケ部の一員となり、この弱小バスケ部を強豪チームへと変えてゆく。
中学生がスラムダンクの深い部分をカットして好きなように恋愛なんかを交えながら物語を思いつくままに仕上げたような小説。
僕は基本的に酷評しないんだけど、そんないやみをいいたくなるほどに物語の展開が浅い!
いじめを受ける苦しみも、好きなバスケを捨てる葛藤もまったく伝わってこない上、T校のメンツに誘われたらあっさりバスケを再開しちゃう。
なんかこう、もっとあるでしょうよ。なんなら思春期の主人公なんだし、悶々としたものが。
詳細な描写にしても、3日ボールに触れなかったらその倍の時間分下手になる、みたいな描写があったかと思えば、「一ヶ月以上のブランクは、彼の技量に何の悪影響も与えていなかった」なんてあっさりいっちゃってたりするし、ほんと、心配になるほどに思いつくままに書かれているのだ。
そして驚くべきことにこの小説がベストセラーであり、現在シリーズ化して8巻まで出ているという事実!大丈夫かこの国は!
とさんざんコキ落としておいて、ええ、すでに2巻読みました。
浩子と陽一の恋の進展も楽しみにしてます。
そのうち2のレビューも書きます。
執筆がんばってください。
そんなわけで、中二病のあなたには案外はまるかもしれない1冊。
中学生に戻った気持ちで読みましょう。
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