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清水義範の小説【書評一覧】 > 深夜の弁明
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表題作「深夜の弁明」を含む16話を収録したショートショート集。
著者があとがきでいっているように、内容は、スポーツ解説者や小説家の書く旅行記、新聞の投稿欄などを模倣(パスティーシュというものらしい)したものが多い。基本的にはブラックユーモアの部類で、へっへっへとかふっふっふと笑ってしまう類のもの。
たとえば表題作「深夜の弁明」なんかはいい例で、原稿を「落として」しまいそうな若手作家が、数時間後に迫りくる締め切りを前にただひたすら反省文を書く、といった話だった。
ブラックユーモアでニヤニヤしてしまうこと請け合いだ。ただし、仕事等で締め切りのある文章を書く機会がある人には、身につまされすぎてまったく笑えないかもしれないけど。
とまあ大方ニヤニヤ笑いがこの本の基本的なテンションなんだけど、ただし、「三流ライター養成講座」は例外。
雑誌の「ライター養成講座」のコーナーに寄せられた読者からの投稿と、それらに付いた担当者の批評、という体で描かれるのだけど、ボケとツッコミといった構図ができていてべらぼうに笑える。
悶絶する恐れがあるため、本屋で立ち読み、移動中の暇つぶしには不向きだ。要注意。
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中島らものエッセイ【書評一覧】 > 心が雨漏りする日には
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作品名: 心が雨漏りする日には 作家名: 中島らも ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆★★★★ ス:☆☆☆☆☆★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 中島らものその他のエッセイ |
中島らも自身が経験した躁うつ病に関するエッセイ。
エッセイは自身の父が躁うつ病だったことから始まる。そこでは突然思い立って自宅の庭にプールとローラースケート場を作ったり、わざわざ異常な出っ歯の入れ歯を作り、他人のふりをして子どもたちをびっくりさせた、といった父のエピソードが、彼の躁病に関連付けられて語られている。
そこから自らのうつ病の来歴、希死念慮に取り付かれたこと、入院中のできごとなどが語られてゆく。
しかし特に壮絶なのが、うつよりも躁が発症してからの話だ。
中島らもの躁病については小説(『水に似た感情』、またはエッセイ『西方冗土』のチチ松村(ゴン・チチ)の解説に詳しい。
『水に~』はまさに躁状態の中島らもがリアルタイムでその様子を書いた小説だ。また、チチ松村の解説では、そのときの様子がどうだったかが客観的視点で書かれている(これが爆笑なんだけど)。
さて、この『心が雨漏り~』だけに綴られた躁の話も壮絶だ。
詳しくは本書を読んで楽しんでいただきたいのだけど、なんでも躁状態のときに、仕事で大阪から東京へ行ったのに、なぜか東京のホテルにチェックインした後、京都で途方に暮れているところを発見されたらしいのだ。
風が吹いたら桶屋が儲かる的ぶっ飛び感。
なんでも中島らも自身にはそのときの記憶はほぼないらしい。
とてもシュールな小説のようで、いったい何の話を読んでいるんだろう、という不思議な気持ちになる話だった。
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