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清水義範の小説【書評一覧】 > 私は作中の人物である
作品名: 私は作中の人物である 作家名: 清水義範 ジャンル: 短編小説集 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆★★★★★★ ス:☆☆☆★★★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 清水義範その他の小説 |
文学的実験が多く試みられた一冊。
フィクションの語り手「私」とは何かについての考察「私は作中の人物である」、全国のまずいものを紹介したグルメエッセイのパスティーシュ「全国まずいものマップ」、文字化けしまくりの官能小説の原稿「文字化けの悦楽」など。
中でも「船が州を上へ行く」は特筆すべき。
タイトルからも分かるとおり、かのジェイムスジョイスの『フィネガンズウェイク』を取り込んだ作品なのだ。
『フィネガンズウェイク』といえば英文学の中でも読みたくない難解(というか難読)な作品として五本の指に入る。ネイティブの大学教授でさえ、あれは読みたくない、といっているのを聞いたことがある。
そんな『フィネガンズ~』を取り込んでいるため、結構笑えるとは思うのだけど、とても読みにくい。
そんなわけで、あまりにも実験的すぎて一般ウケはせんだろうと思われる一冊。
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中島らものエッセイ【書評一覧】 > アマニタ・パンセリナ
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作品名: アマニタ・パンセリナ 作家名: 中島らも ジャンル: エッセイ 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 中島らものその他のエッセイ |
中島らもが実体験に基づきドラッグを語る。
シャブ、LSD、大麻、抗うつ剤等、ドラッグがテーマとして語られるけど、そこから派生する日常や過去のできごとについてが面白い。
特に、らもさんが失業中の「ヘルハウス」(何かしらの中毒者のたまり場と化した中島家は、かつてこう呼ばれたという)時代のことが多く書かれているのが嬉しい。この辺りの話は長編『バンド・オブ・ザ・ナイト』に繋がるところで、とても面白いのだ。ノンフィクションとは思えない壮絶さ。
また、「ハシシュ」の章では、対談集『逢う』で野坂昭如と喧嘩した(そういうことがあったらしいのだ、相手があの野坂昭如というのがまた…)際の、喧嘩の勝敗を決めるために書かれた短編小説「らっきょ」が掲載されている。
ドラッグ本というと一見マニアックそうだけど、意外なことにシンプルに楽しめる一冊。
ちなみに、「睡眠薬系統」の項で、らもさんはこんなことを言っている――「僕は遠からず死ぬな、と思っていた。それも、ラリって階段から転がり落ちるか何か、そういったことのように思えた」
別のエッセイ(『固いおとうふ』)の中では、自分の死期について「どうも五十五、六歳が怪しい」なんてことも言っているし、もしかしたららもさんは自らの死をかなり具体的に予感していたのだろうかなんて邪推してしまう。
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