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清水義範の小説【書評一覧】 > 黄昏のカーニバル
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【あらすじ・ひとこと】
SF雑誌に連載していたものをまとめたSF短編集。得意のパスティーシュも用いず、シリアスな内容が多めの正統派サイエンスフィクションとなっている。
笑える話としては「デストラーデとデステファーノ」がおススメ。
この話に関していえばほとんどエッセイで、序盤はライオンズで活躍したデストラーデと中日の足を引っ張るだけだったデステファーノという似たような名前の二人の助っ人外人(1990年当時)の話がつらつらと書かれている。しかしこの二人の助っ人外国人の話は、読者と筆者の間にあるタイムラグの話を導き、最後に短めの時間に関するSFで締められる。しゃれてる。
それにしてもこの「デストラーデ~」で語られる筆者と読者の間にあるタイムラグに関する項では思わずどきっとさせられた。
ずっと未来にこの本を読む読者にとって、私の文章なんてまるでセピア色に変色した写真みたいな感じなんだろう、と語るくだりで清水はこういう。「えっ。写真がセピア色に変色するってのがどういうことかよくわからんのですか」
さらに話は、VHSの画像が悪くなるのと同じことだ、という説明をした上で、こう続く。「えー。VHSって何のことかわからんわけですか。ビデオもそっちにはないんですか」
本当にどっちもなくなってしまった。
執筆当時(1990年)にはなくなるとは思われなかったろう写真とビデオは、どちらもデジタル化し、変色、劣化などしなくなってしまった。
恐らく、冗談で書いたんじゃないかと思うんだけど、まるで予言みたいでドキリとした。
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