笑える本を読もう! >
中島らもの小説【書評一覧】 > ロカ
中島らも未完の遺作。
「近未来小説」と銘打ち、自身をモデルにしたという68歳の作家小歩危ルカが、仲間と出会うことで自分の中の熱いものを取り戻す様子が描かれている。と書くととても青臭い感じっぽいけど、決してそんなことはない。テーマは、欺瞞に満ちた世界への反逆。そのままロックのような小説だった。えーと、そう書くとまた青臭いような感じがするけど、まあ、そんなことはないのだ。
キャラクターがいずれも魅力的で、特に山口富士夫がモデルと思われるクレオがいい。伝説のギタリストとして名を馳せ、人と群れるのを嫌い、議論を嫌う。そんなクレオがあるときこんなことを言う。「おれだってさ、バカじゃないんだから議論に加われない訳じゃないんだ。本だってまあまあ読んでるしな」
実は議論嫌いの僕としては、なんだか胸のすっとするようなセリフだ。世の中は無駄に専門用語を使いたがったり、分かったようなことを言いたがるようなやつが多すぎる。まあどうでもいいけど。
わくわくさせるストーリー展開、物語の複線が幾重にも張り巡らされ、そしていよいよそれらの仕掛けが一気に爆発しようとする。しかしまさにそのとき、物語はぱたりと幕を閉じる。
エンターテイナー中島らもの最高傑作だったんじゃないか。
この作品を未完に終わらせた中島らもの罪は重い。大麻所持なんかよりずっと。
PR
SHARE THIS!!! |
Recommend
松尾スズキ (小説)
クワイエットルームにようこそ
中島らも (エッセイ)
中島らものたまらん人々
町田康 (エッセイ)
猫にかまけて
奥田英朗 (小説)
ララピポ
森見登美彦 (小説)
夜は短し歩けよ乙女
クワイエットルームにようこそ
中島らも (エッセイ)
中島らものたまらん人々
町田康 (エッセイ)
猫にかまけて
奥田英朗 (小説)
ララピポ
森見登美彦 (小説)
夜は短し歩けよ乙女
Sponsored Link