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中島らもの小説【書評一覧】 > 水に似た感情
テレビ番組の撮影でバリ島へ行ったときの出来事を元に書かれた、半ノンフィクション小説。
らもさんは躁鬱病もちだったということなのだけど、この撮影でバリへ行った際に躁転してしまったのだという。その際の凄惨な様子はエッセイ『西方冗土』のあとがき(チチ松村、こっちも抱腹絶倒なので読むべき)に詳しい。
そしてこの小説の半分は、躁状態で書かれていたのだとか。らもさん自身があとがきで語っているけど、前半は躁状態で、後半は通常(つまり鬱)の状態で書かれているので、「この本はふたつに分断している」という印象がある。
ストーリーとしては、特になんちゃあない。チチ松村と中島らも自身をモデルとした主人公達がバリ島にロケに行くのだが、そこに用意されていたテレビクルーがダメでダメで。そんなテレビクルーの尻を蹴りながら、バリの神秘を回る…といったもの。
しかしなんちゃあないはずなんだけど、なぜか異常に面白いのがこの小説の魅力だ。
形容しがたい魅力に満ちた一冊。
『永遠も半ばを過ぎて』と並んで、らもさんの小説の中で最も好きな小説。おススメ。
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