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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 秘宝耳
作家名: ナンシー関
ジャンル: コラム

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆☆★★★★
危:☆☆☆☆☆☆★★★★
ナンシー関のその他のエッセイ
【名言・みどころ】
テレビ(メディア)の中では、周囲から「偉い」と言われている人が偉く見える。偉い人として扱われていなければ、その人は偉く見えない。芸能人としてのポジショニングは、いろんな番組での共演者との関係性の見せ方の積み重ねでできあがっていくといえる。

【書評・あらすじ】
 ナンシー関が急逝した2002年に出版されたテレビコラム集。もう何度もこのブログで言ってきたが、ナンシー関の本はどれを取っても一定の可笑しさと面白さを与えてくれる。内容もほとんどぶれることなく、テレビ・芸能人評だ。
 違いがあるとすれば、その本がいつ書かれたのか、という点であるが、何分ワイドショー等の時事ネタが中心となることが多いため、実はその違い大きい。90年代前半の話題となると懐かしさを超えてまったく記憶にないので、個人的には現在に少しでも近いことが好ましいと思う。その意味では、2002年に出版されたこの本はおすすめの一冊ということになる。
 さて、この記事を書いている2017年夏、最近の話題として印象深いのはSMAPの解散、そして中居・木村以外のジャニーズ脱退だ。SMAPがいなくなったとたん、タッキーや堂本剛など一時期(ここ10年ほど)テレビで見かけなかった人たちが一斉にリバイバルを果たした。まさに「SMAP枠が開いた」としかいいようがない、奇妙な現象を我々は見ている。
 そんなことはどうでもいいのだ。SMAPでいうと、特にここ数年香取の闇の部分が隠し切れなくなっていることに世間はざわついていた。ほんの10年前までSMAP一番の元気印という印象だったが、ここ数年はうつが服着て歩いているような状態だった。
 このコラムの中に、そんな香取を主役とした章がある。なんでもSMAP×SMAPの「ビストロSMAP」でゲストが森光子だったときのことだそうだが、どういう経緯か知らないが香取が森光子にキスをする運びになったのだという。
 森光子にキス。それは明らかにご褒美ではない。かといって東山の彼女という点で嫌な顔もできない。そんな視聴者も含め、森以外に誰にも得のない状況の中、出口のない海に閉じ込められた香取はキスを敢行した上で、「俺の人生はばたいてるぜ!」と叫んだという。光景が目に浮かぶようだ。
 そんな香取を見て、ナンシー関は言う。
何か、この時の香取慎吾は「芸能」というもののある一面のいろんな澱とか灰汁みたいなものを全部背負い込んでいたのかもしれないと思った。
おそらく彼女には、芸能界の海のよどみに沈んでゆく香取の姿が見えたのだろう。ナンシーのこの指摘は、その後の香取の運命を暗示しているように思えてならないのだ。
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