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書評ブログの【笑える本を読もう!】

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作品名: 暴いておやりよドルバッキー
作家名: 大槻ケンヂ
ジャンル: エッセイ

笑:☆☆☆☆☆☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆☆★★★★
ス:☆☆☆☆☆★★★★★
危:☆☆☆☆☆☆☆★★★
大槻ケンヂその他のエッセイ
【書評・あらすじ】
 オーケンが橘高や内田君と邂逅し、【筋肉少女帯】が復活した当時に書かれていたエッセイ。
 と、のっけからファン以外についていけない話で恐縮だ。
 1行目を翻訳すると、80年代バンドブームにデビューし、以来活動を凍結する1999年までアングラなファンを魅了しつづけた、大槻ケンヂ率いるアングラメタルバンド【筋肉少女帯】が8年ぶりにメンバー仲を快復し、復活するに至った時期に書かれたエッセイ集だ、という内容になる。ふー長かった。
 そもそも【筋肉少女帯】(以下筋少)は、90年代末にギターの橘高文彦と大槻がおお揉めに揉めたことがきっかけで活動「凍結」が発表されていた。
 本書ではその凍結当時のことや、橘高・内田との再会、復活ライブのことなど、筋少ファンとしてはたまらない内容が語られている。
 どうも解散当時、オーケンは「自分さえいれば筋少は成立する」と甘く考えていたようだ。しかし橘高脱退(クビ)をHPで発表し、でもあいつ抜けても余裕でやるよーんと発表後、自らご本人様掲示板に降臨したところ、掲示板は見事に大荒れ。
 非難されまくり、もういいねん。やめてやるねん。と心折れたのが解散の経緯だったそうだ。
 それ以来橘高と内田(内田にいたっては中学からの友人だったのに!)とは非常に険悪な8年間を送っていたのだけど、8年という冷却期間を経て再び彼らに連絡を取り…。といった復活にいたるまでの話など、普通に人間ドラマとしても楽しい(本書によるとすっきり仲直りというわけでもなさそうだけど)。
 そんなわけで、筋少ファンは必見!そうでない人も多分それなりに楽しめる一冊。

 ところで、本に関連してこのエッセイ集を語れば、どうも『ロコ!思うままに』が書かれていた時期と同時期に書かれていたようだ。
 たとえば本書「『踊るダメ人間』VS『踊る赤ちゃん人間』」では橘高との再会が記されているのだけど、橘高に呼び出されたのがドトールコーヒー。40を超えたおっさんミュージシャンが長きブランクを経て再会し、ファミレス(ドトールだけど)で打ち合わせをする…。
 ってこの話、『ロコ!~』収録の短編「神様のチョイスはKISS」でまるっきり同じシチュエーションが出てきたではないか。
 また、「夏休みの日記・司会者編の巻」ではKISSのポールスタンレーが某夏フェスで、客席ガラガラの会場をワイヤーに吊られて飛んだ、なんてエピソードが出てくるが、これもまた『ロコ!~』の「神様のチョイス~」に出てくる話だ。
 そして何より。ここを見てほしい。僕は『ロコ!~』の書評で、こんなことを書いていた。

一見浮浪者のような見た目。暗がりでもグラサン。ゆったりした関西弁。そして肛門性交やドラッグなどの怪しい話題とそこから引き合いに出されるウィリアム・バロウズ、「ふふふ」笑い。
ついでに大槻ケンヂのリスペクトも合わせて考えるとこの人物、100%確信を持って述べるが、明らかに中島らもだ。
なんなら上に引用した台詞の物言いなど、かなり忠実に中島らもの語りを再現しているといえる。

 そして本書の「『ロコ!思うままに』いつか『ロカ』も思うままに?」でオーケンがこんなことを言っている。
「『ロコ!』の終章には、明らかにらもさんだとわかる人物も登場させた」
 どうよ!さすがでしょう!だてに長年の中島らもファンじゃないのだ。ばっちり見抜いてやった。
 しかし困ったのは、オーケンは上の文にこのように続けるのだ。
「まあらもさんも短編の中で、大槻ケンヂがモデルとわかる人物を登場させている」
 あったかしら?とにかく大槻、中島両氏のファンとして、らもさんの描くオーケンも探さないとならないという新たな使命を手にしてしまったのだった。

 さて総括。
 一時のオーケンのエッセイは、UFOとかプロレスとか推理小説とか、話題がごくごく一部に集中していたきらいがあった。話題が集中するのはいいんだけど、その話題がことごとく一般ウケしておらず、しんどかった感がある。
 本書の話題は筋少を復活させた時期でもあったため、関心がバンドに向いていたようで、話題はバンド関係がメインではだった。
 ミュージシャンの舞台裏の話はそれ自体面白く、わりとファンでなくてもすんなり楽しめる一冊だったと思う。
 そして何より、復活を果たした筋肉少女帯のその裏話がリアルタイムで語られていくというワクワク感。
 やはりファンならどっぷり楽しめる内容になっている。
 そんなわけで上にも書いたけど、筋少ファンは必見!そうでない人も多分それなりに楽しめる一冊、という評価だった。

 ちなみにどうでもいいことだけど、劇団ひとりはオーケンの本の大ファンらしい。
 それでこの本の単行本の帯は劇団ひとりが書いたのだそうだ。

 
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