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北尾トロのエッセイ【書評一覧】 > ほんわか!
数年ぶりに北尾トロを読んだ。
『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』といい『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』といい、この人の本はことごとくタイトルが長い!実はこの本のタイトル『ほんわか!』は「本についてわからないこと、ねほりはほり!」の略称なのだ。欄におさまらないので略称だけ書いたけど。
まあそれはいいとして、これまで読んだこの人のエッセイから判断するに、気になったので試しにやってみた、系のスタイルがこの人の執筆スタイルだ。
エッセイのスタイルには、自分の思想をとことん掘り下げてゆく内向的パターンと、身の回りのできごととか世間やテレビに対して突っ込みを入れる外向的パターンが定番だと思うんだけど、この北尾トロの場合、気になっちゃう、よーし行っちゃえ!という大変外「交」的なスタイルが特徴なのだ。
よって彼の本を読んで思想が深まるということはないと思う。知的好奇心を見たいしたい人向けのエッセイストだ。
さて、本書「ほんわか!」は、本にまつわるふとした疑問を編集者や雑誌読者の学生なんかを巻き込んで調査するというスタイルで書かれたエッセイ集だ。
読書好きはモテるのか?官能小説のタイトルは、誰がどのようにつけているのか?古本はどこで売るといい値がつくのか?等の疑問を実際に調査して解決していく。
中でも絶版本を探す回はなかなか見ものだった。というのもどうやら当時はamazonや日本の古本屋がそれほど充実していなかったらしく(「まだ書名で検索できるほど環境が整備されていない」と本文にある)方々の古本屋を回って絶版本を探す。
また、官能小説の回では、官能小説が文学的価値に向かわないことについて、官能小説書評家から「当然です、官能小説は実用書ですからね」との名言が生まれていた。
まあこんな感じで本を読んで「なるほどー」と思いたい人向けの一冊だ。
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