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浅田次郎のエッセイ【書評一覧】 > 勝負の極意
浅田次郎初期のエッセイ。
自らが作家になるまでの苦労を語った「私はこうして作家になった」と、競馬に関するエッセイ「私は競馬で飯を食ってきた」をまとめて一冊にしたもの。
前者は作家になるための指南、後半は競馬で負けないための指南。総じて「勝負の極意」を語った内容になっている。
前半の「私はこうして作家になった」は、昔JT主催の講演会で話した原稿をもとに加筆訂正を加えたもの。もともと講演会の原稿なので、語り口調はですます調。
幼少期から初志貫徹で作家になることを夢見続けてきた浅田次郎。しかし作家デビューは39歳と遅咲きだった。
進学校に通い、三島由紀夫の死を探求しに自衛隊に入隊し、除隊後は裏社会と密接にかかわりながらアパレル関係の会社を経営した。そしてそんな傍らに常に執筆活動があった自らの人生を「二足のわらじ」と銘打って語っている。
60ページほどの簡単な自伝と思えばよいか。
それにしても、この人の人生を見ていると、たとえ何歳でも人生どう転がってゆくかわからないことがよくわかる。
後半の「私は競馬で飯を食ってきた」はタイトルどおり競馬に関するもの。
25%のテラ銭を始めから大本のJRAががめるというどう考えても勝てるわけがない博打、競馬。しかし実は浅田次郎はその競馬で30年間飯を食ってきたという奇跡の勝負師だった。
運の見極めやパドックの見方など、競馬で負け越さないための極意を専門的かつ事細かに、かつ素人でも楽しく読めるように記してある。
競馬をしない僕でも十分にたのしめる。が、いかんせん馬や騎手がネタに出てきたりするので、競馬を知ってたらさぞあつくて面白かったにちげぇねえ。
ちなみに小説と競馬誌でのあまりの違いに、浅田次郎は2人いる、小説は妻が書いているなどの噂があったのだとか。
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