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原宏一の小説【書評一覧】 > ダイナマイト・ツアーズ
テキトーに生きてきた雅也と、同じくテキトーに生きてきた真由美。二人はテキトーに出会ってテキトーに結婚し、そしてテキトーに新婚旅行でアメリカに出かけた。
するとそこに雅也の父の訃報が届く。しかしテキトーな二人のこと、これで父の遺産が転がり込んできて人生楽勝やん、とのんきにかまえていた。
が、葬儀のため急いで帰国した二人に、実は雅也の父が大きな借金をかかえていたことが知らされる。
さらにその夜、雅也は借金の貸付人から土地を更地にして明け渡すように脅される。
かくして追い詰められた雅也は土地の確保のために一つの手段に出る。
家の爆破だ。
ずいぶん思い切ったものだが、とにかくこうしてこの爆破屋夫婦の物語りは始まるのだ。
アメリカの地で追い求める夢がビルの爆破。
物語の設定は一見アホのようだが、ダメな二人が爆破屋の仕事に夢中になってゆく姿は、そのままダメ人間の成長物語となっている。
また、アメリカで師事する爆破職人ボブと二人の関係はまるで新しい家族のようで、家族愛を描いた人情味溢れる話としても楽しめる。
そういえば短編集『床下仙人』にも新しい家族の形を描いたいい話があったっけ。原宏一はそういうのが得意な人なのかな。
原宏一は最近『床下仙人』を読んで以来気に入って読んでいる。
どの本も爆笑という感じではないんだけど、妙な小説を書く人で面白い。
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