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景山民夫の小説【書評一覧】 > 転がる石のように
戦後間もないころ、アメリカ軍の占領下にあった時代に横浜の米軍基地の近くで生まれ育った上山哲夫。友人は日本人よりも基地に暮らすアメリカ人のほうが多かった。しかし戦後の復興を経、東京オリンピックを境に、日本から、そして哲夫の町から<アメリカ>は消えた。
そして60年代後半。22歳になった哲夫は、自分の中に理想とする<アメリカ>が存在することに気が付く。そして心の中に巣食う<アメリカ>を探しに、ヒッピームーブメントがかげりをみせるアメリカ大陸にわたる。
主人公のアメリカでの放浪の旅を描くことで、自分の理想と現実の間で揺れる青年の葛藤を描いた良作。
「冷たいシャワーが好きなら三ドル八五セント。嫌いでも泊まりたいならその倍だ」
「冷たいのが好きな料金で一泊だ」
「冷たいのが好きな料金で一泊だ」
台詞回しがいちいちウィットに富んでおり、クスリと笑いながらぐいぐい楽しめる。
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