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町田康のエッセイ【書評一覧】 > つるつるの壷
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そういえば町田康が自分の過去を語った文章はあったろうか。
町田康の文章はかなり読んだつもりだが、よくよく考えてみると伝記的な記述を読んだことはない気がする。
日本でロックがその地位を認められる以前からパンクのカリスマとして敬意を集め、のちに作家としてデビュー、芥川賞を受賞、といった経緯は知っている。しかしこれらの情報は周囲から(僕の場合大槻ケンヂや中島らものエッセイから)集められたもので、町田康自身が自分の過去について多くを語ったものはそういえば見たことがない。
意外なことだけど、町田康は「今」しか書いていないのかもしれない。気のせいかもしれないけど。
つまり僕にとって町田康とは、かつて伝説のパンクロッカーで今は小説家、そして現在はちゃぶ台に乗ってあぱぱ踊りを踊っている、といった極めて謎の多い人物であることに気づいた。
しかしこの『つるつるの壷』では、しばしば自伝的な話が挿入される。
大阪の新世界でボーイをしていたころのこと(「忘れ得ぬ光景」)、東京に上京したときの話(「肉・ヌンチャク・肉」「勝負茶碗」)など、そういえば聞いたことがなかった町田康の「あの頃」が描かれている。
ほんの少しではあるが、町田康という平面に奥行きが生じた一冊だった。
ちなみに「解説」は中島らも。
町田康の文章をして、「たったひとつのビート。コードはE7だけだ」とは言いえて妙だと思う。しかしなぜE7なのかはよく分からないけど。Cメジャーのような作家(奥田英朗みたいな)ではないという意味なのかしらね。
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