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末永直海の小説【書評一覧】 > 百円シンガー極楽天使
二束三文のギャラと、ステージのおひねりでなんとか口を糊しているドサ周りシンガーたち。
そんなドサシンガーの一人、夏月リンカがこの物語の主人公。
ステージではキンクレコード専属の歌手ということになっているが、実はそんなところに所属はしてない。ついでにそんなレコード会社はない。また、ステージ年齢は26から24、22と順を追って次第に若返ってゆくが、実年齢は34歳だ。客とのトークで年齢がばれないよう、干支のチェックは欠かせないが、22なら干支が一周してちょうどいい。
恋人は「西川口の夜の帝王」、リンカはその妾だ。とはいえ夜の帝王こと大樹は家にはちっとも帰らずリンカの部屋にいりびたっている。喧嘩っぱやく優しい男だ。
歌手としてはこれといった夢も目標もなく、ついでにオリジナル曲もない。そのためステージでは人の曲のコピーだけを歌うしかない。
それでもリンカはドサ周りシンガーとして誇りを持って生きている。
ついさっきまで赤の他人だった客が、自分の歌に魅せられて思わずおひねりを出す。そんな歌手としてのあり方に惚れたのだ。
ときにドサ仲間や恋人との間での諍いに心を痛めながら、ときにメジャーデビューへの誘惑に揺れながらも、リンカは今日もすれっからしな「百円シンガー」としてステージに立つ。
主人公の心の機微を描いた良作。ドサ周りシンガーという共感しにくい設定なのに、とても共感できる作品だった。
町田康がエッセイの中で紹介し「非常に笑える」と褒めていた小説だったので長いこと探していたんだけど、ようやく読めました。
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