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宮藤官九郎のその他の本【書評一覧】 > やあ宮藤くん、宮藤君じゃないか!
作品名: やあ宮藤くん、宮藤くんじゃないか! 作家名: 宮藤官九郎 ジャンル: ラジオ本 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆★★★★★★ ス:☆☆☆★★★★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 宮藤官九郎のドラマ脚本とか |
宮藤官九朗がパーソナリティをつとめたTBSのラジオ番組「キック・ザ・カンクロー」(2003年~2007年放送)のトークをまとめて書籍化したもの。
ラジオの書籍化ではあるけど、スタイルとしては対談集のつもりで読めばいいと思う。
それはさておき、ところで、キック・ザ・カンクルーって今はどこで何を?
さてこの番組、実は単にアシスタントなんだけど、なぜか毎回ゲスト扱いで永遠の46歳を自称する港カヲル(大人計画)が登場し、放送はだいたいこの2人で回していたらしい。
定番の人気コーナーは「女コーナー」。毎回リスナーから集めた「女とは~」で始まる謎かけを紹介するというもので、例えば「女とはサッカー選手である。なぜなら必死にタマにくらいついていくから」なんてくっだらねえことを言うコーナーだったようだ。
港カヲル以外にもときどき本当のゲストが来ていたみたいで、一例を挙げれば荒川良々(大人計画)、宮崎吐夢(大人計画・開国して下さいヨォのペリーでおなじみ)、顔田顔彦(大人計画)、伊勢志摩(大人計画)、松尾スズキ(大人計画)etcetc。
と、さすがにこれは意図して大人計画ばかりをチョイスしたわけで、他にも中村獅童とか来てたんだけど、それにしてもそれはもうもんのすごい身内でやってます感が伝わってくる。
また、さっきから僕は「らしい」とか「ようだ」とかやけに歯切れの悪いことばかりを書いているんだけど、それもそのはず。番組を聞いたことないんだもん。
それでまあ放送を聴いてた人なら楽しめる場面もあったのかもしれないけど、そうでない僕にはそれほどはまらない一冊だった。
まあ大人計画関係のゲストも多いし舞台の裏事情とかも語られているので、クドカンファンならびに大人計画の大ファンなら大いに楽しめるかと思われる。
ちなみにアシスタント兼ゲストの港カヲルは、普段の芸名を皆川猿時といい、松尾スズキや宮藤官九郎関係の映画、ドラマにしょっちゅう出ている。
松尾スズキのあの快作映画『恋の門』では「ギバレンガー」のセイキ様、最近ではクドカンのドラマ「11人もいる」でダイナミックパパを怪演していた。
個性派なんて甘い表現じゃ表現しきれないくらい個性的な俳優です。
追記:皆川猿時は2013年、大ヒット朝の連ドラ「あまちゃん」に潜水土木科の先生イッソンとして出演。ちなみに僕は「あまちゃん」全体を通してイッソンが一番輝いていたと思います。
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宮藤官九郎のその他の本【書評一覧】 > タイガー&ドラゴン 上・下
宮藤官九郎の人気ドラマ「タイガー&ドラゴン」の脚本。
これはもうね、きました。久々に大ヒット。
まずはあらすじ。
ヤクザの虎児(長瀬智也)は幼い頃に両親が自殺して以来、知らず知らずに笑うことを忘れていた。そして、身より無くいたとろを拾われた中谷組でヤクザをしていた。
ところが、落語家林家亭どん兵衛の借金取立てに行った際、どん兵衛の高座を見て落語の魅力に魅了されてしまう。
そして強引にどん兵衛に弟子入りし、師匠に授業料を払いながらその授業料をその場で取り立てることとなる。かくしてどん兵衛と虎児の奇妙な師弟関係が始まる。
一方でどん兵衛には竜二(岡田准一)という名の息子がいた。
かつては落語の天才と称され、2代目どん兵衛の名を継ぐのは確実とされた男だった。しかし今はわけあって落語を捨て、裏原宿でドラゴンソーダという超絶ダサイ服屋を営んでいる。
落語に魅了されどんどんのめりこんでいく虎児と、かつて落語に愛されながらも落語を捨てた竜二。
虎と竜でタイガー&ドラゴン。
林家亭一門、不思議な女メグミ、ドラゴンソーダのバイトリサ、虎司の舎弟銀次郎など多くの仲間を巻き込んだり巻き込まれたりしながら、落語を愛した男とかつて落語に愛された男の人生が動き始める。
「ヤクザ」と「落語」。
いかにも<日本臭い>テーマを選びながらも、まったく古くささがない。
どんなテーマでも、クドカンの笑いはやはり<新しい>と感じさせるものがある。
例えば竜二が謎の女メグミ(伊東三咲)を口説いて自分の部屋に連れて行こうとするシーン。
メグミ、大きな建物を見上げて。
メグミ 「すごーい、いいところ住んでるんだね」
竜二 「ごめん、それスウェーデン大使館」
メグミ 「すごーい、いいところ住んでるんだね」
竜二 「ごめん、それスウェーデン大使館」
ここで「スウェーデン大使館」を選べるクドカンの感性。うまく説明できないけど、このチョイスが絶妙なのだ。
そしてこの後、竜二の部屋というのが、実は友人チビTの家の押入れの上段だということが判明する。もはや笑いの波状攻撃だ。
また、そんな笑いの波状攻撃の中胸を打つ言葉を入れてくるところがこの作品の魅力的なところ。
「ウゼエんだよ、やりてえと思ってる事、他人からやれって言われんの、すげえウゼエんだよ」
正直僕はこの言葉に泣いた。漠然となんか嫌だなーと思っていたあの感覚をこんなに端的に表現するなんて。
他にもいくつか宮藤官九郎の名言集に載せているのでチェキ。
クドカンの脚本で、特に売れたドラマシリーズは一通り読んだつもりなんだけど、この「タイガー&ドラゴン」がダントツだった。
テレビで見たときははっきりと『池袋ウェストゲートパーク』が一番面白かった。
長瀬と窪塚の「死ぬなよ」「…死にますん」「どっちだよ!」のやり取りには本当に悶絶した。
しかし本で読んだ場合、IWGPはさほど笑えなかった。当然のことながら映像のために書かれているわけで、映像で見て初めて面白いのがIWGPだったわけだ。
しかし一方で、「タイガー&ドラゴン」は本として最高に面白かった。
読み物として完成していて、<読み物>としても十分に耐えうる作品なのだと思う。
なお、巻末には上下巻ともに、作中で虎児が噺す新作落語の元ネタ、原作の古典落語が掲載されている。これが上下巻合わせて200ページもある。
古典落語については好きな人には嬉しいんだろうけど、僕はひとまず読み飛ばしました。興味が湧いたらその内に。
文庫版の下巻はコチラ。僕もamazonで1冊買ったので、在庫が減ってるぞ!いる人は急げ!また読後はDVDで楽しもう! |
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