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景山民夫の小説【書評一覧】 > 転がる石のように
戦後間もないころ、アメリカ軍の占領下にあった時代に横浜の米軍基地の近くで生まれ育った上山哲夫。友人は日本人よりも基地に暮らすアメリカ人のほうが多かった。しかし戦後の復興を経、東京オリンピックを境に、日本から、そして哲夫の町から<アメリカ>は消えた。
そして60年代後半。22歳になった哲夫は、自分の中に理想とする<アメリカ>が存在することに気が付く。そして心の中に巣食う<アメリカ>を探しに、ヒッピームーブメントがかげりをみせるアメリカ大陸にわたる。
主人公のアメリカでの放浪の旅を描くことで、自分の理想と現実の間で揺れる青年の葛藤を描いた良作。
「冷たいシャワーが好きなら三ドル八五セント。嫌いでも泊まりたいならその倍だ」
「冷たいのが好きな料金で一泊だ」
「冷たいのが好きな料金で一泊だ」
台詞回しがいちいちウィットに富んでおり、クスリと笑いながらぐいぐい楽しめる。
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景山民夫の小説【書評一覧】 > クジラの来る海
地球に突如作られ始めた数多くのミステリーサークルの謎に迫る「地球防衛軍、ふたたび」、特に観光の見どころのない町に「クジラ」を偽装する役員たちの姿を描いた、表題作「クジラの来る海」、雑誌の特集を組むために霊能者を集めることでえらいことになってしまう「霊能者たち」、など11話が収録されたユーモア短編集。
景山民夫は、まあなんというか、スピリチュアルというか、そっち方面のね、いやまあ何を信じるかは自由というか、いいんですけどね、楽しければ。
ただまあ、やっぱりなんかちょっと香ばしいというか、まあ積極的に嗅ぎたくない匂いもあるといえばあるわけで、やっぱりしれっとした感じで参考文献にわざわざ大川隆法の名前が挙げてあったりすると、作品とは別のなにか香ばしさがね、まああるといえばあるわけですよ。
ノストラダムスです。
そんなわけで11話の中には、ちょっと別の部分が気になって素直に楽しめない話もあるので、ちょい注意。90年代にはいってすぐに入信したらしいので、まあそれ以降はなんかそんな感じなのかな。
ところで最初に収録された「地球防衛軍、ふたたび」を読んでいておったまげた。
二〇一〇年代になって…略…ここ二年ばかり、……前世紀に”世界の警察官”をもって任じていたアメリカが、中東戦争のツケが回って経済的にドン底に落ち、それに加えて北米大陸で次々に起きた天変地異、……止めの一撃として、チリ沖海底火山の噴火を発端にした地殻変動で……
1994年に書かれた本になぜこれだけのキーワードが!
まあ偶然にキーワードが重なって的中しちゃってるように見えるだけなんだけど、なにせ90年代の景山民夫には、ノストラダムスを現代に降臨されたかの大先生がいらっしゃるわけだから(まあいいんだけど)、人が人だけに、もはや予言に見えてしまうのでした。
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