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景山民夫の小説【書評一覧】 > 俺とボビー・マギー トラブル・バスター2
作品名: 俺とボビー・マギー 作家名: 景山民夫 ジャンル: 連作短編小説 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 危:☆☆☆☆☆☆☆★★★ 景山民夫その他の小説 |
テレビ局を舞台にしたハードボイルド連作短編小説、トラブルバスターシリーズ2作目。
関東テレビ総務部総務課制作庶務係、つまるところテレビ局で起きるあらゆるごたごたを片っ端から解決する係りに、唯一の社員として勤める主人公宇賀神邦彦。そんな主人公の活躍を描いたシリーズだ。
直属の上司、下品でうるさいけど憎めない性格の田所局長の「バカヤロー」を合図に、宇賀神の元にテレビ局内のやっかいごとが持ち込まれる。
麻薬問題、ドラマ撮影中の事故処理、タレントの隠し子騒ぎ、スタッフと現金の失踪事件等々。
これらのごたごたをトラブル・バスターとしてあらゆる手を使って解決する。
しかしなんといってもこの小説の魅力はその後で、トラブル・バスターとは別に宇賀神個人としてもうひとつ落とし前をつけるところなのだ。
その辺に、よっ名奉行!と思わずいいたくなるような魅力がある。
キャラクターはいずれもどこか抜けているというか、主人公宇賀神は頭が薄いし、上司の田所はあからさまに品性がない。そんな面々なんだけど、一本芯が通ったところがあってめちゃくちゃ格好いいというのもこの小説の魅力だ。
そういった意味では、見た目は豚なのに超ダンディな男前に見えてしまう「紅の豚」の格好よさに通じるところがあると思う。
ところで1作目は今後どうなってゆくかわからないところもあったのかそうでもなかったのだけど、この2作目『俺とボビー・マギー』からは「今後もこのシリーズで頑張っていきます」的なニュアンスが顕著になってきている気がする。
なんでかって、新キャラ多数登場するからなのだ。
どうも宇賀神と同業者らしい中央テレビの巌谷、宇賀神の元嫁の桔梗さんなど。
これらその回限りのちょい役ではなく、今後もレギュラーで出てくるであろう新キャラの登場が、なんだか今後も頑張ります感を出していた。
それにまあ何より、「あとがき」の中で宇賀神自身が筆者の景山に「桔梗まで引っぱり出しちまった以上、これっきりってこたあないんだろ」なんてことを言ってるしね(このシリーズは「あとがき」まで小説チックなのだ)。
なんにせよ登場人物も賑やかになってきていよいよ面白くなりそうだ。
キャラクターもいちいちいいし、言い回しはユーモラスでおかしいし、このシリーズはかなり好きかもしらん。
3作目がブックオフで見つかる日が今から楽しみだ。
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景山民夫の小説【書評一覧】 > トラブル・バスター
作品名: トラブル・バスター 作家名: 景山民夫 ジャンル: 連作短編小説 笑:☆☆☆☆☆☆★★★★ 楽:☆☆☆☆☆☆☆★★★ ス:☆☆☆☆☆☆★★★★ 危:☆☆☆☆☆☆★★★★ 景山民夫その他の小説 |
テレビディレクターとして働いていた主人公、宇賀神邦彦。
現在は番組を9本コケさせた落とし前として、テレビ局内で起こるあらゆるごたごたを収める部署、製作庶務係に追いやられている。
製作局長の田所からの「バカヤロー!」の罵声とともに、宇賀神のもとにテレビ局内のトラブルが持ち込まれる。そして宇賀神はそれらをあの手この手でことごとく解決してゆく。
そんな宇賀神のことを人は「トラブル・バスター」と呼ぶ。
舞台は都会のテレビ局だが、雰囲気はまるで荒野。
カウボーイハットを被り、悪人をバキューンと撃ち殺しては、ふん、またつまらぬものを撃ってしまった、みたいな。
いやごめんなさい、この手の小説はてんで読まないので例えが貧弱だったね。というか、西部劇と時代劇が混ざっちゃってたね。まあとにかく、ずばりいって、ハードボイルドなのだ。男の美学というか。紅の豚的かっこよさ。
番組企画の盗用、クイズ番組の八百長(クイズダービーとはらたいらがモデルっぽい)、美術セットの盗難、人気若手歌手の妊娠騒ぎなどが宇賀神のもとに持ち込まれ、それをドライでクールに、しかしときに優しく解決してゆく。
特に各話のオチとなる悪人の懲らしめ方、落とし前のつけかたがいちいちキザでダンディなのだ。
そんな宇賀神のトラブルバスターとしての活躍を描いた連作短編集。
面白くてさくさく読んだが、やはり人気だったらしく、同シリーズが4冊ほど出ているらしい。またコミック化、映画化もされているとのこと。
連作短編小説なので登場人物や設定は同じだが、1話完結で30ページほどの短編なので、ちょこちょこっとした暇に読める。
テレビ畑出身の景山民夫らしく、テレビ局内の内情がやけにリアルでよかった。
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