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中島らもの小説【書評一覧】 > こどもの一生
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中島らもの執筆活動は本当にどこまでも幅広い。小説だけに限定しても、ギャグ小説から児童向け、純文学、エンターテイメント、恋愛もの、などなんでもこなしている。しかもどれも面白いのだからすごい。
この小説は、そんなはばひろーーーい執筆活動のうちの一つ、ホラー作家としての中島らもを満喫できます。とはいえ終始恐ろしいのではなく、大半がユーモラスで可笑しい。笑いと恐怖が同居する一冊。
とある島にあるサイコセラピー施設に集まった5人が、催眠術で10歳の子供に戻りストレスから解放される治療を受ける。そして子どもに戻った彼らが、架空の人物「山田さん」について語り始めると…といった感じ。
なお、単行本には作中で歌われる歌のCDがついている(文庫未収録)。読んだ当時ネットで調べたら「CDを聞いて本を読むと怖さ倍増」みたいなことが書かれてあったので、半ばパニックを起こしながら聞いたのだけど、別にそんなことはありませんでした。 |
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中島らもの小説【書評一覧】 > ロカ
中島らも未完の遺作。
「近未来小説」と銘打ち、自身をモデルにしたという68歳の作家小歩危ルカが、仲間と出会うことで自分の中の熱いものを取り戻す様子が描かれている。と書くととても青臭い感じっぽいけど、決してそんなことはない。テーマは、欺瞞に満ちた世界への反逆。そのままロックのような小説だった。えーと、そう書くとまた青臭いような感じがするけど、まあ、そんなことはないのだ。
キャラクターがいずれも魅力的で、特に山口富士夫がモデルと思われるクレオがいい。伝説のギタリストとして名を馳せ、人と群れるのを嫌い、議論を嫌う。そんなクレオがあるときこんなことを言う。「おれだってさ、バカじゃないんだから議論に加われない訳じゃないんだ。本だってまあまあ読んでるしな」
実は議論嫌いの僕としては、なんだか胸のすっとするようなセリフだ。世の中は無駄に専門用語を使いたがったり、分かったようなことを言いたがるようなやつが多すぎる。まあどうでもいいけど。
わくわくさせるストーリー展開、物語の複線が幾重にも張り巡らされ、そしていよいよそれらの仕掛けが一気に爆発しようとする。しかしまさにそのとき、物語はぱたりと幕を閉じる。
エンターテイナー中島らもの最高傑作だったんじゃないか。
この作品を未完に終わらせた中島らもの罪は重い。大麻所持なんかよりずっと。
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